「こんにちは、なまえさん。今日はどうされました?」

「こんにちは、寂雷先生。ちょっと風邪気味っぽくて…」

「それはいけませんね。診せて下さい」

「お願いします」

口を開けるよう言われて、あーんと開く。

「ああ、真っ赤だね。かなり腫れているから、痛むだろう」

喉の様子を見た寂雷先生が優しく言った。

耳の下あたりを指でさぐられ、「リンパ腺も腫れているね」と呟く。

「次は心音を聞かせてもらおうかな。ああ、大丈夫、服は着たままで構わないよ」

トップスの裾を捲り上げようとした手を制されて、聴診器を胸に押しあてられた。
何ヵ所かそうして音を確かめてから、後ろを向いて背中にも聴診器をあてられる。

咳をしたら、優しく背中を撫でられた。

「とりあえず、一週間分の薬を出しておくから、それで様子を見よう。薬を飲み終わってもまだ症状が続くようだったらまたおいで」

「はい、ありがとうございました」

お礼を言って椅子から立ち上がると、寂雷先生は優しく微笑んで言った。

「今夜は、私が食事を作りに行くよ。それまでゆっくり眠っておきなさい。お大事に」


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