「あれは……もしかして、山本君?」 遠くから聞こえてくる戦闘音へと心配そうな顔を向けた真奈に、ツナは頷いた。 獄寺が脱落した今、残りは自分達しかいないのだから。 「山本君大丈夫かな…」 「そうだな…相手が複数だときついかもしれない」 骸か雲雀か──恐らくは雲雀だろう。 山本は強い。 相手が一人ならば簡単に負ける事はないはずだが、そこに骸が駆けつけたら厄介だ。 「ねえ、ツナ。私は大丈夫だから、山本君の加勢に行ってあげて」 「だが…」 「大丈夫。ちゃんと隠れてるから。ね、早く」 そう言い終わるやいなや、一際激しい激突音が響き、壁か何かが破壊されるような凄まじい音が地面を揺らした。 「ツナ、お願い!山本君を助けてあげて!」 「くっ…!わかった、ここにいろ。直ぐに戻ってくる」 大空の特徴はその機動力。 綱吉はみるみる遠くなっていき、やがて見えなくなってしまった。 辺りは痛いほどの静寂に包まれている。 もう何も聞こえない。手遅れだったのか。 それとも── 恐る恐る物陰から覗き見ようとした真奈の肩を、何者かの手が掴んだ。 |