「本日ご紹介するのはオクタヴィネル抱き枕三点セットです」

「そろそろ人肌が恋しくなる季節ですから、ぴったりの商品ですね」

「セット内容は
・アズール
・ジェイド
・フロイド
の三点セットになります。
腕枕で添い寝してくれるだけでなく、料理や洗い物などの家事から、ラウンジの運営による資金調達などの機能も備わっているので、お買い得ですよ。もちろん、夜のお相手もバッチリです。毎晩交代制にするもよし、4Pするもよし。全てはお客様次第です」

「これは凄いですね!でもお高いんでしょう?」

「いえいえ、いまなら30分以内にお電話頂いた方だけに、四人で暮らせる立派な一軒家まで付いてきっかり5000万マドルでお届けさせて頂きます」

\おおー/ ぱちぱちぱちぱち

「ええ!?そんなにお安くて大丈夫なんですか?」

「はい、今回限りの出血大サービスです」

「皆さん、こんなチャンスは滅多にありませんよ!さあ今すぐお電話を!」

商品番号0910番
オクタヴィネル抱き枕セット
お値段5000万マドル
各種クレジットカードご使用できます
送料は楽園ネット負担のため一切かかりません
今すぐお電話下さい。

お電話番号はこちらから





「おはようございます」

「おはよう、ジェイドくん」

ズボンを履いて、素肌に白いシャツを羽織ったジェイドくんは、爽やかな土曜日の朝には似つかわしくないほど色っぽい。

「アズール、フロイド、いい加減に離れなさい。なまえさんが起きられないでしょう」

「ん〜……やだぁ、もうちょっと……」

むずがったフロイドくんが私の肩口に顔を擦りつけていやいやをする。
アズールくんに至っては、私の胸に顔をうずめて脚を絡めた状態で熟睡している。
アズールくんのふわふわの髪を撫でてあげても、まるで起きる様子がない。

「ずるいですよ。僕だって甘えたいのを我慢しているんですから」

「ジェイドも甘えればいいじゃん」

「おいで、ジェイドくん」

ジェイドくんがその長身を屈めてきたので、私はすべすべした彼の頬を両手で優しく挟むようにして顔を引き寄せ、ちゅっと音を立ててキスをした。
すると、それだけでは足りないとばかりに舌が侵入してきて口内をぬるぬるとまさぐってくる。

「んん……」

舌と舌が触れあい、ジェイドくんの蛇のようなそれに絡めとられて、ぢゅるっと吸われた。

「ん、いい子、いい子」

朝に交わすにしては濃厚過ぎる口付けを交わしながら頭を撫でてあげると、ジェイドくんの喉がキュウキュウ、クルルルとイルカの鳴き声のような音を響かせた。

「ジェイドが甘え鳴きするなんて珍しー」

フロイドくんが笑って私の首筋に吸い付く。

胸元にちりっとした感覚があって、視線を向けると、私の胸にキスマークをつけたばかりのアズールくんと目が合った。
さては、とっくに起きていて寝たふりをしてたな。

「まったく……朝から賑やかですね」

ベッドサイドのテーブルに手を伸ばしたアズールくんがそこに置かれていた眼鏡を手に取る。

「あっ、待って」

眼鏡を掛けようとするアズールくんに私はちゅっとキスをした。

「おはようのキスがまだだったから」

はにかんでそう言えば、アズールくんはその色白の肌を仄かに赤く染めて、「言われれば、いつでもしてあげますよ」と呟いた。
あ、何だかこのやり取り新婚さんみたい。

「さあ、さあ、起きて下さい。朝食にしますよ」

「えっ、オレまだなまえちゃんにキスしてない!」

「さあ、なまえさん。これを」

「ありがとう、アズールくん」

裸のままだった私の肩にアズールくんがガウンを羽織らせてくれる。
それを着ている間に、ジェイドくんが朝食を運んできてくれた。

片手にティーポット、もう片手にはティーカップを持ったジェイドくんが、良家に仕える有能な執事がそうするように完璧な動作でモーニングティーを注いでくれる。

「どうぞ、なまえさん」

「ありがとう、ジェイドくん」

なんて贅沢な一日の始まりだろう。

貯金をはたいて抱き枕を購入して良かったとしみじみ思いながら、美味しい紅茶と朝食を頂いた。


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