《ふむふむ、なるほど……》 帽子を被った途端、頭の中に直接誰かの声が響いてきた。 これが組分け帽子の声だろうか。 《絵に描いたような善良な娘さんだ。これならハッフルパフに──》 (スリザリンスリザリンスリザリン) 《どうしてかね?君なら十分ハッフルパフでうまく──》 (スリザリンスリザリンスリザリン) 目を閉じて頑なに念じ続ける。 帽子はちょっと笑ったようだった。 《よろしい。そこまで決意が堅いのなら……》 「スリザリン!」 スリザリンのテーブルから割れんばかりの拍手が鳴り響いた。 ドラコが立ち上がって手を叩いているのが見える。 父のほうを見ると、彼も満足げな顔で拍手してくれていた。 (良かった…) ほっと安堵しながらテーブルに向かったエリーを、自分の隣を空けて待っていてくれたリドルが迎えた。 彼とドラコに挟まれる形で椅子に腰掛ける。 「スリザリンへようこそ!」 監督生らしい大柄の上級生に笑顔で話しかけられ、エリーも笑顔で挨拶を返した。 ドラコがぽんと肩を叩いてくる。 「これから改めてよろしく」 「こちらこそ」 「僕の女に気安く触るな」 リドルに睨みつけられて青ざめるドラコを見て、エリーは笑った。 林檎が転んでもおかしく思えるくらい、心から幸せな気分だった。 今この瞬間、ホグワーツでの波乱万丈の学園生活が始まったのだ。 |