2/2 


《ふむふむ、なるほど……》

帽子を被った途端、頭の中に直接誰かの声が響いてきた。
これが組分け帽子の声だろうか。

《絵に描いたような善良な娘さんだ。これならハッフルパフに──》

(スリザリンスリザリンスリザリン)

《どうしてかね?君なら十分ハッフルパフでうまく──》

(スリザリンスリザリンスリザリン)

目を閉じて頑なに念じ続ける。
帽子はちょっと笑ったようだった。

《よろしい。そこまで決意が堅いのなら……》

「スリザリン!」

スリザリンのテーブルから割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
ドラコが立ち上がって手を叩いているのが見える。
父のほうを見ると、彼も満足げな顔で拍手してくれていた。

(良かった…)

ほっと安堵しながらテーブルに向かったエリーを、自分の隣を空けて待っていてくれたリドルが迎えた。
彼とドラコに挟まれる形で椅子に腰掛ける。

「スリザリンへようこそ!」

監督生らしい大柄の上級生に笑顔で話しかけられ、エリーも笑顔で挨拶を返した。
ドラコがぽんと肩を叩いてくる。

「これから改めてよろしく」

「こちらこそ」

「僕の女に気安く触るな」

リドルに睨みつけられて青ざめるドラコを見て、エリーは笑った。
林檎が転んでもおかしく思えるくらい、心から幸せな気分だった。

今この瞬間、ホグワーツでの波乱万丈の学園生活が始まったのだ。


 戻る  
2/2

- ナノ -