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マクゴナガルに連行されてきたドラコと机を挟んで向かい合ったスネイプの表情は、石のように固かった。
深夜に起こされたからではない。
自寮の生徒が、よりによって“あの”ハリー・ポッターを追って真夜中に校内を徘徊していたと聞かされたからである。

「先生違うんです!」

弁解しようとしたドラコを手で制し、スネイプが低く呟く。

「君の父上がこの事を知ったら、さぞかしガッカリされるだろう。どこかの英雄気取りの馬鹿者と同じように、真夜中の学校をうろついていたなどと聞かされて平静でいられるはずがない」

ドラコは黙った。
確かに、マルフォイ家の跡取り息子が罰則を受けるなど不名誉極まりないと激怒するだろう。

「罰則内容はマクゴナガル教授と協議の上で、後日改めて連絡する。寮へ戻りたまえ」

スネイプは冷たく言って部屋からドラコを追い出した。

どうして僕が!
ドラコはたいそう憤慨していた。
こそこそ何かやっていたグリフィンドールの連中の悪事を言いつけただけなのに、何故自分まで罰則を受けなければならないのか。
よく知らせてくれたと誉められると思っていたのに。

翌朝になっても怒りがおさまらなかったドラコは、談話室に降りてきたなまえに一部始終を話して聞かせたのだが、それが間違いだったと、罰則が決行される夜に思い知ることになる。
彼女は自分もドラコと一緒に罰則を受けさせて欲しいとスネイプに申し入れたのだ。
そして、憎からず想っている少女に涙ながらに懇願されたスネイプは、その健気さに打たれて渋々ながら許可を出してしまったのだった。

そして、罰則が決行される日の真夜中。
禁じられた森の外れまでやってきたハグリッドは、ランプを掲げながら、緊張して青冷めた子供達の顔を見渡し、これから怪我をしたユニコーンを探しに行くのだと告げた。
何者かにユニコーンが傷つけられたのは、今週になってこれで二度目らしい。

「すまんが、お前さんはファングと行ってくれ。俺はどうも猫は好か…ん……ぶぇっくしょい!」

どうやら猫アレルギーらしく、プシュン、プシュン、とくしゃみを繰り返しているハグリッドを、なまえに抱っこされた黒猫のトムが冷ややかに眺めていた。
馬鹿が、とでも言いたげな表情だ。


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