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ドラコとなまえは、組分けの儀式を経て無事にスリザリン寮へ入寮することが出来た。
ハリー・ポッターとちょっとしたいざこざを起こして機嫌が悪かったドラコも、望み通りスリザリンになったことで、すっかりいつもの調子を取り戻していた。
隣りに身の毛がよだつようなゴーストが座った時には流石に少しばかり顔をひきつらせたものの、早速取り巻きに出来そうな子供を相手に気取った声で話している。

「僕の父上はスリザリン寮出身の中でも特別優秀な存在だったんだ。勿論、スリザリンは優秀な魔法使いを輩出することで有名な寮だけど、皆が皆、出世したわけじゃあないだろ?その点、父上は立派な仕事をなさっていると思うよ」

「おじさまはホグワーツの理事をなさってるんでしょう?」

なまえと同級生の少女が甘えるような声でドラコに聞いた。
確か、パンジー・パーキンソンという子だ。
彼女は早くもドラコに熱を上げている様子だった。
クラッブとゴイルも同じ寮で、なまえ達の向かいに座ってご馳走をガツガツ食らっている。
それから、ルシウスの知り合いの息子のセオドール・ノットという男の子も一緒だった。
女の子で、もう一人、ミリセント・ブルストロードという子も同級生だ。

「あ、待って。取ってあげるよ」

なまえが少し離れたカボチャジュースの瓶に手を伸ばした時、黒人の少年がそう言って瓶を取ってくれた。

「有難う」

「どういたしまして」

ドラコとはちょっと違った気取った感じの返事をして、少年が笑う。

「僕はザビニ。ブレーズ・ザビニだ」

「私は、」

「知ってるよ。なまえだろ。さっき組分けで並んでる時、君の後ろにいたんだ。覚えてない?」

「そうだったの? ごめんなさい。あの時はよく周りを見ていなかったから…」

スリザリン以外は言語道断といったドラコにつられて、スリザリンにならなかったらどうしようかとドキドキしていたのだ。
とても周りを見ている余裕などなかった。
ザビニは「わかるよ」と頷いて見せた。

「おい、ザビニ。なまえにあまりなれなれしくするな」

今こそルシウスの忠告を実行すべきだと感じたドラコが、すかさずザビニに釘を刺す。
ドラコに睨まれたザビニは、やれやれと軽く肩を竦めて食事に戻った。
なまえも、こんなご馳走を放っておくのはもったいないと思い、改めてデザートを食べ始めたのだが、ふと視線を感じて手を止めた。

教員席に座っている黒衣の男が、じっとこちらを見つめている。
何だか、背筋がゾクゾクするような眼差しだ。
なまえは隣りに座るドラコの袖をくいくいと引っ張った。

「ん? どうしたんだい?」

「あの人、誰?」

指差した方を見ると、黒衣を纏った男の暗い瞳がじっとこちらを見つめていた。

「ああ…あれはスネイプ先生だよ。ここ暫くは来ていなかったけど、父上の知り合いで、家にも来たことがある。大丈夫、きっと僕達を知っていて見ているだけだよ」

スネイプに見つめられて怯えるなまえに、ドラコが笑いかける。


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