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クィディッチ・ワールドカップを観戦した夜のことだ。

森の中のテントでマルフォイ一家は夕食後のお茶を楽しんでいた。
テントと言っても、当然ただのテントではない。
中はちょっとした別荘くらいの広さがあり、ウィルトシャーにある屋敷には及ばないまでも、内装も大変豪華だった。

ココアのカップを両手で包み込んで座るなまえの横では、ドラコがまだ興奮冷めやらぬ様子で試合の感想とハリー・ポッターの悪口を交互に繰り返していた。
今日の試合ではハリー達も貴賓席に来ていたのである。

「もういいわ、ドラコ」

ナルシッサがうんざりした顔で遮った。

「もうたくさん。そんなにクィディッチの話がしたいのなら、私達が休んでからにしてちょうだい」

行きましょう、とナルシッサがなまえを促して立ち上がる。
クィディッチに興味がないナルシッサにとっては、今日一日で十分過ぎるほどの退屈な時間を強いられてきたのだ。
暫くクィディッチのクの字も聞きたくないのだろう。

「お休みなさい、おじ様」

「ああ、お休み」

ナルシッサとともに立ち上がったなまえは、苦笑するルシウスの頬にキスをした。
この様子では彼も早々に息子をベッドに追い立てるに違いない。

「今夜はテントから出てはいけないよ。こんな夜には騒ぎが起こるかもしれない」

「はい、おじ様」

両手でなまえの頬を包むようにして言い聞かせるルシウスに素直に頷く。
おかしな忠告だとは思ったが、概して彼は過保護なところがあったので、その言葉の意味を深く考える事はしなかった。
しかし、この後に起こる出来事を思えば、ルシウスの忠告はもっともな内容であったのだ。


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