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英国で生まれた子供で、11歳までに魔法力を示した者には、ホグワーツ魔法魔術学校から入学許可証が届けられる。

マルフォイ家の子供ドラコと、その邸宅に身を寄せている同じ歳のなまえのもとへも、いよいよその時がやって来た。
ホグワーツに入学する歳になったのである。

ルシウスは当然のこと──マルフォイ家からスクイブが出るなど有り得ない、と考えているからだ──と受け止めながらも、やはり喜んでくれた。
ルシウスもナルシッサも、二人ともホグワーツのスリザリン寮出身なのだ。
ドラコは当然自分達もスリザリンに入るはずだ、となまえに語って聞かせた。

「当然だろう? 優秀な魔法使いを多く輩出してきたのは、ほかでもないスリザリン寮なんだ。『純血』の魔法使いである僕達なら間違いないさ」

ホグワーツへの旅支度をしながらそう言ったドラコは、スリザリン寮になることを少しも疑っていない口ぶりだった。
靴下と着替えが一杯に詰め込まれた鞄には、ドラコの期待も詰まっているようだった。
なまえもまた、自分のトランクに下着やらガウンやらを詰め込みながら、ドラコが得意気に語って聞かせるホグワーツの話に耳を傾けていた。

「考えてもごらんよ。マルフォイ家の子供がハッフルパフなんかに入れられたら、皆がなんて言うか……まあ、レイブンクローならまだましかもしれないけどね。ただ、グリフィンドールだけは絶対ないな。父上が言うには、あそこの連中はハッフルパフ以下だそうだから」

ドラコが父親そっくりな顔を上品にしかめる。
その滑らかな白金の髪は、ぺったりと後ろに撫でつけてられていて、古風なオールバックにされていた。
それでも落ちてくる後れ毛をうっとうしそうに手で払うと、ドラコはトランクの蓋を閉めた。
もうすぐナルシッサが様子を見に来る頃だ。
なまえも最後にお気に入りの黒猫・トム専用のクッションを何とかトランクに押し込むと、溢れ出て来ないようにしっかりと蓋を閉めた。

そろそろ部屋に戻らなければ。
マルフォイ家で与えられたあの部屋とも、今夜でお別れだ。

「さ、もう寝ないと。母親が来る前にベッドに入ろう」

「うん」

なまえはドラコにおやすみなさいを言って自分の部屋に戻り、ベッドの中に潜り込んだ。


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