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翌日。
なまえは、ドラコとともに、キングズクロス駅のプラットフォームにいた。

「では気を付けていきなさい」

「はい、おじさま」

「はい、行って来ます。父上」

ナルシッサに代わるがわる抱擁された後、二人はルシウスとも同様に別れの挨拶を交わした。

「なまえ、友人は良く選んで決めるのだよ。甘い言葉をかけて近寄ってくる男には気をつけなさい」

妙に説得力のある言葉に、なまえは素直に頷く。
ルシウスは微笑んでなまえを抱き締めながら、今度は息子のほうへと目を向けた。

「いいか、なまえにマグルの虫などつかぬよう、しっかり見張るのだぞ、ドラコ」

「はい、父上」

ホグワーツ特急の前で別れを惜しむ父子の姿。
そこここでも似たような光景が繰り広げられているし、今年からホグワーツに入学する子供を見送るとあれば、見送りに熱が入るのは当然だ。

「特に。グリフィンドールのような野蛮な連中など決して近づけぬよう、くれぐれも気をつけろ」

「はい」

ホームに据え付けられた時計は、発車時刻一分前を指していた。

「もうこんな時間か……」

ルシウスは最後にもう一度なまえをギュッと抱き締めると、名残惜しそうに列車に乗せた。

「なまえ、こっちだ」

ドラコがなまえの手を引いて、先にコンパートメントを確保していたクラッブとゴイルのもとへ駆け込むと同時に、発車を知らせるベルがホームに鳴り響く。

「ゴイル、菓子を食べるのはいいけど、そこらじゅうに食べかすを落とすんじゃない」

言いながらドラコが窓を開ける。
ルシウスとナルシッサも直ぐ向こう側にやって来ていた。
その時、列車が動き始めた。

「二人とも、梟にお菓子を届けさせますからね。お腹を冷やさないように気をつけるのよ」

目元をハンカチで拭い、手を振るナルシッサの姿がゆっくりと遠ざかっていく。

「やれやれ……母上は本当に過保護なんだから…」

異性の親をうっとうしく思い始める年頃のドラコは母親から離れられるのが少し嬉しくもあるようだ。
そんな彼を、黒猫は小馬鹿にしたような目で見てフンと鼻を鳴らした。


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