「あ……こんな事…父さまにバレたら──」 「セブルスか?あれは私に文句など言えんよ」 寄せられる唇から逃れようとするなまえの顎をルシウスの細い指が捉え、固定する。 羽毛が触れるようにそっと重ねた唇は乾いていて柔らかかった。 上品な煙草の香りの底に潜む禁断の蜜の甘さに目眩がする。 ルシウスには妻子があった。 そして、なまえは彼の学生時代の後輩であるスネイプの娘として、家族ぐるみの付き合いをしている仲だった。 「ダメです、おじさま…」 「何故?君も気付いていたはずだ。君を見つめる私の眼差し…恋い慕う『男』の目に」 腰に腕を回されているせいで身動きの取れないなまえは、せめてもの抵抗に、男の胸板に手を当てて押し反そうとする。 だが、そんな儚い抵抗はルシウスの微笑を誘うばかりだ。 本気で嫌ならば、叫べばいい。 邸内には彼女とともに招かれて滞在しているスネイプがいるのだから。 だが、その潤んだ目に、桜色に染まる頬に、男は少女の真意を見ていた。 「なまえ、愛している…幼い頃からずっと、美しく成長していく君を愛してきたのだよ…」 熱く囁いて、男は再び唇を重ねた。 なまえの髪を優しく撫でて、先ほどよりも深く情熱的な口付けを与える。 戸惑う心のままにルシウスの胸元を握りしめていた少女の手が、おずおずとその背に回された。 こうされたいと密かに願っていた想いのままに。 |