まるで貴族の館で見られるような上品で豪華な家具や調度品の数々。 ……いや、“まるで”ではない。 ここは実際、貴族の館の地下なのだ。 ルシウス・マルフォイの屋敷にあるこの地下室は、言うなれば豪華な牢獄だった。 ホグワーツを卒業してすぐにルシウスによって拉致されここに閉じ込められたせいで、今世の中がどうなっているのかさっぱりわからない。 ただ一つ確かなことは、私がここに居る限り、私の家族は無事でいられるということだけだ。 だから逃げられない。 逃がしてもらえない。 「今日も残さず食べたようだね。良い子だ」 いつものように地下室に降りて来たルシウスが私の頭を撫でる。 彼の言う通り、出された食事は完食していた。 最初の頃はハンストしていたのだが、それが無意味だということに気付いてからはなるべく残さず食べるようにしている。 いつか、ここから出られるチャンスが巡って来たときのために。 「まだ諦めていないのか。そうでなくては」 ルシウスをキッと睨むと、彼は満足そうに微笑んだ。 「それでこそ堕とし甲斐がある」 そう笑って彼は私を抱き上げ、続き部屋になっている浴室へと連れて行った。 着衣を脱がされ、純白のバスタブの中に入れられる。 同じく着ていたものを素早く脱ぎ捨てたルシウスが入って来て、私を後ろから抱きしめるような形でバスタブの中に収まった。 キュッと音がしてすぐに温かいシャワーが降り注いでくる。 「君は美しいな。髪も、身体も……」 それを言うなら彼のほうだと思ったが、下手に口を開くのは危険な気がして、私はされるがままにルシウスに髪や身体を洗われた。 壊れ物を扱うように優しく、大きな手の平で身体の隅々まで撫で回される。 彼のしなやかな指先を脚の間に感じた瞬間、私は身を震わせた。 「やっ…!」 「大丈夫、洗うだけだ」 強張った身体を宥めるように撫でてから、指先が秘められた場所を暴いていく。 「……ふ……ぁ、っ……」 「嬉しいよ。その調子で可愛い声で鳴いておくれ」 ルシウスの言いなりになるのは悔しかったが、愛撫されることに慣らされてしまった身体は私の意思を裏切って吐息混じりの甘ったるい声を浴室に響かせた。 洗うだけだなどと言ったくせに、器用に蠢く指先は完全に別の目的を持って私を追い詰めていく。 「だめ、だめ、ルシウス…!」 「聞けないな」 首筋を唇で吸われ、もう片方の手で胸を揉みしだかれた。 「愛しているよ。私の、可愛い可愛い、なまえ」 奈落の底へ落ちていくような気持ちになりながらも、どんなことをされても絶対に心までは渡してはいけないと必死に自分に言い聞かせる。 魂だけは売り渡してはならない。決して。 この残酷で美しい悪魔に。 |