「──お母さん? ええ、そう。私は大丈夫」 母に持たされたコンパクトに向かって、明るい声で返事をかえす。 ランプの明かりに照らされて輝くそれは、対になっているコンパクトに声が届く魔法がかけられている、通信用の道具だ。 「でも、お買い物がまだ終わってなくて…もう少し時間がかかりそうなの──うん、分かってる。怪しい人に着いて行ったりしないから、安心して。小さい子供じゃないんだから」 心配げな母親の声にクスクス笑うと、なまえはコンパクトを閉じた。 そうして、後ろを振り返る。 「おじさま…」 なまえを背後から抱き締めながら、ルシウスは満足げな微笑を浮かべて囁いた。 「そうだ、それでいい」 「ぁッ……」 二人分の体重を受けたベッドが軋み、弾みで胎内を擦られたなまえは甘えるような声を上げる。 しなやかな指先に顎を掴まれ、ルシウスの端正な顔が寄せられた。 「さあ、ご褒美だ」 「ンン……ふっ、ん…」 ご褒美のキスを与えられたなまえは、熱く潤んだ瞳で、自分を抱いている男を見上げる。 男を受け入れている腰をもじもじと動かしながら、もっと、とねだった。 「好き……好き、です……もっと…もっと、して……おじさまの好きなようにして……」 男は等しく狼である。 |