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ホグワーツの中庭にある大きな木の枝に座りぼんやり空を見上げていたなまえは、ふと下から響いた名を呼ぶ声に、視線を地上に向けた。

「降りて来い、なまえ」

普段他の生徒達に見せる優等生の顔ではなく、横柄な独裁者の顔でリドルが呼び掛ける。

「何か嫌な事があるとここに来るのはわかっている。馬鹿な奴だ」

ふんと鼻で笑われてムッとしたなまえは再び空を見上げた。
途端、苛々したような舌打ちが聞こえる。

「あんな連中の言葉に耳を貸す必要はないと言っているんだ。お前はお前だろう。好きにやればいい」

言い方こそ厳しいが、内に秘められた優しい響きにリドルに視線を戻すと、彼は大きく両腕を広げていた。

「来い。お前の存在ぐらい僕が受け止めてやる」

考えるより先に体が動いていた。
危なげなくしっかりと暖かい腕に収まり、その温もりに頬を寄せる。

「……本当に馬鹿な奴だ」

肩口に顔を埋めて泣き出したなまえの背を、優しい手がゆっくりと撫でてくれた。


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