シャワーから出て、灯りの落とされた寝室の中をぐるりと見回す。 求める姿は、大きな寝台の上にあった。 ベッドの縁に腰掛けているのは、細身の長身をナイトガウンに包んだ、リドル。 ランプの灯りを映して揺らめく真紅の瞳が、静かにこちらを見つめていた。 高鳴る鼓動に竦んでしまいそうになる足をなんとか動かして、なまえはゆっくりと彼のもとへ向かう。 「怖いか…?」 冷たい両手に頬を包み込まれ、そう問われる。 微かに頷いたのを手の平で感じとったリドルが、ふっと笑った。 「わかった。なるべく優しくしてやる」 どうしようもなく震える体を宥める為か、優しく唇が重ねられる。 冷たく柔らかい唇は、そのまま頬をなぞるように耳へと滑っていった。 「心配するな。すぐにお前からしてくれと頼むようになるさ」 「そっ…そんな事しないわ!」 いつもの口調でからかわれて、真っ赤になって怒る。 彼は喉で笑いながら、その体を寝台に横たえた。 「そうだ。そうして、いつものように怒っていればいい。──そんなところが堪らなくそそられるのだから…」 一年で一番熱い夜が、ゆっくりと更けていく |