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雪に埋もれたホグワーツ城に今年もクリスマス休暇がやって来た。
生徒達にとっては待ちに待った休暇である。
特に、OWLやNEWT試験を控えた上級生達の中には、勉強漬けの毎日が続くせいで頭を掻きむしりそうになっていた者もいたから、そんな彼らにはクリスマス休暇は一息つく良いチャンスだった。

ホグワーツ特急に乗る為に城を出て行く彼らの顔は、みな晴れやかだ。
たとえ、戻ってからまたもや勉強漬けの日々が始まるとわかっていても、その笑顔は心から休暇を楽しもうと決意しているかのようだった。

なまえはといえば、リドルとともに居残り組である。
リドルは、孤児院でクリスマスを過ごすなど冗談ではないと思っているらしい。

「餓鬼どもに囲まれて讃美歌だのを歌うよりは、お前の子守りをしているほうがまだましだ」

そう言って、リドルはドレスローブ姿のなまえを上から下まで眺めて、じっくりと検分する。
今夜はスラグホーンの部屋で行われるパーティーに招かれているのだ。
招待客は誰か一人をパートナーとして招待出来るのだが、リドルは迷わずなまえを選んだ。
それはつまりそういうことなのだが、そんな風に改めて好意を示されると、何だか恥ずかしい。

「あの、トム…」

「じっとしていろ」

リドルは何を思ったのか、なまえの髪に指を差し入れると、びっくりするほど優しげな手つきで髪を梳き流した。
後頭部の中心辺りから二つに髪を分け、両肩口へとそれを持って来る。
そうしておもむろに杖を取り出し、肩口の髪にそれをあてると、緩く巻いて上品な感じにカーブをつけた。

「これで少しはましになったはずだ」

相変わらずグサリと来るような物言いだが、髪に触れられる感触にドキドキしていたなまえは、文句を言うだけの余裕もない。

「行くぞ」と声をかけて手を差し出したリドルに頷き、その左腕に自分の右手を滑り込ませる。
もう既に頭から蒸気が吹き出てもおかしくない状況だ。
しかも、

「僕に恥をかかせるなよ。おかしな真似をしたらお仕置きだ」

などと低く脅されたものだから、なまえは緊張のし過ぎでどうにかなってしまいそうだった。

「ままま待って!お仕置きってなにっ!?」

「そうだな…ナニにしようか……そうそう、この間更に改良を施した『悪魔の罠』は凄いぞ。まあ、試してみればわかると思うが」

リドルが不穏な笑みを浮かべる。

「ほら、会場に着いたぞ、なまえ。遠慮なく楽しむといい。後でどんな事になっても、心残りがないように」

そうなまえに囁くと、リドルは素早く優等生の仮面をつけて、出迎えに来たスラグホーンににこやかに挨拶をした。
なまえも蒼白になった顔に慌ててぎこちない微笑を貼り付ける。
こうして、楽しいクリスマス・パーティーが始まった。


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