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クリスマスイブの夜、消灯時間ギリギリに課題を終えた。
クリスマス休暇に課題を出すなんて、変身術の先生は鬼だ。

何となく暖炉の前から離れがたくてぐずぐずしていたら、談話室の入口が開いてトム・リドルが入って来た。
たぶん、スラグホーン先生の所に行っていたのだろう。
さらりとした黒髪に、時々紅く見える印象的な瞳。
相変わらずハンサムだ。

「まだ起きていたのか」

毛布にくるまっている私を小馬鹿にしたように見て、彼は懐から杖を取り出し、暖炉に向けて容赦なく炎を消した。

「消灯時間だ」

「うう…」

「ほら、寝るぞ」

そう言って、トムは私を毛布ごと抱き上げた。

「トム?」

「寒いんだろう?一緒に寝てやる」

確かに、女子は男子寮に入れる。
でも、だからといってこれはどうなのだろうか。
それは確かに、今まで何度もトムの部屋に連れ込まれてはいたけれど。

「部屋のみんなが待ってるかもしれないし…」

「もうとっくに寝ている。それに、起きていてもお前が帰って来なかったら僕の所に行っていると思うはずだ。ああ、またかぐらいのものだろう」

「そ、そんなぁ」

そんなにバレバレだっただろうか。
何の疑問も挟まずにトムの所にいるとバレているとしたら、とんでもないことである。
恥ずかしい。

「でも」

「うるさい」

私をキスで黙らせて、トムはさっさと自分の部屋に向かって歩いていく。
部屋につくと、彼は私を抱き上げたまま器用にドアを開けて中に入った。
同室の生徒はいない。
彼は一人部屋なので。
首席だけに与えられる特権だ。

「寝ぼけて僕を蹴り出すなよ」

「そんなことしないよ!」

トムは私をベッドに降ろし、自分もベッドに入ると、毛布を掛けて隙間が出来ないようにしっかりと二人の身体に巻き付けた。

彼の胸に顔をうずめる形で抱きしめられた途端、トムのあたたかい体温に包み込まれる。

身体が温まると、たちまち睡魔が襲ってきた。
逆らわずに大人しく目を閉じる。

「おやすみ、なまえ」

「おやすみなさい」

いつもこんな風に優しいといいのに。

それとも、いつも意地悪だから時々こうして優しくされるとコロッといってしまうのだろうか。
恐ろしい飴と鞭である。

そこまで考えたところで、眠りに落ちていった。

「ん…」

夢うつつに、背中を撫でる優しい手を感じた気がする。


翌朝のクリスマスの朝。
ツリーの下にトムからのプレゼントが置かれていて大歓喜することになるのだが、今はまだそれを知らないまま、あたたかい夢の世界を漂っていた。


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