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クリスマスが終われば、新年まであっという間だ。
雪深いホグワーツに生徒達が戻って来ると、途端に城内は賑やかになった。

朝からせっせと雪かきをしているハグリッドにホットピザサンドを差し入れして、寒さに震えながら城内に戻り地下へ降りた。
やっぱりここの寒さには慣れないなあ。
ブランケットにくるまりながら歩いてスネイプ先生の私室へ向かう。

「先生、私です」

「入りたまえ」

ノックをするとすぐに返事があった。
地下の冷たい空気から逃れるように開いたドアの向こうへ滑り込む。

室内は暖かかった。
人の出入りが少ないせいだろうか、暖炉だけでも充分暖かい。

ほっとして、持って来たものを差し出す。

「先生、お雑煮です」

「これがそうなのかね」

「御節にもチャレンジしたかったんですが、さすがに食材の調達が厳しかったので」

「期待せずに頂こう」

「あ、ひどい」

スネイプ先生は辛辣だ。
まあ、初めて食べる食べ物に対する警戒心があってのことだろう。

持って来た小鍋をテーブルに置き、お椀代わりのスープ皿にお雑煮を取り分ける。

「フォーク使いますか?」

「いや、箸で頂こう」

今まで鍋やら日本食を差し入れてきたので、スネイプ先生はお箸が使えるようになっていた。
かなりの上達ぶりである。
こちらの食文化に慣れようと四苦八苦してきた私とは偉い違いだ。

スネイプ先生は、まずはスープ皿に口をつけ、汁を啜っている。

「ふむ…悪くはないな。少し薄味だが、健康的だ」

「わかりますか」

「和食はこちらの食事と比べて健康的だという統計が出ている。薄味なのもそのせいだろう」

「さすが先生」

「褒めても何も出さんぞ」

スネイプ先生はいよいよ餅を箸で持ち上げた。
少し噛んで、びよーんと伸びた分を切る。

「歯ごたえがあって、なかなか美味いな」

「もっと驚くかと思ったのに」

「我輩にリアクションを期待せずに、君も早く食べたまえ」

「はい、いただきます」

私も自分の分のお雑煮を食べることにした。
いきなりお餅からいく。
やっぱりお正月と言えばこれだ。

もぐもぐと咀嚼していると、スネイプ先生は懐から何かを取り出して私の前に置いた。
封筒?

「スネイプ先生?」

「お年玉だ」

「えっ、そんな悪いからいいですよ!」

「いいから受け取りたまえ」

「すみません、ありがとうございます」

有り難く封筒を受け取る。
何かやけにずっしりしているんですけど…。

気になったので中身を覗けば、なんとガリオン金貨が何枚か入っていた。

「こんなに頂けません!」

「いいから受け取りたまえ。それはほんの駄賃だ。これからやって貰わねばならぬことがあるのでな」

何だか嫌な予感がする。
スネイプ先生は唇の端を持ち上げて悪い笑みを浮かべて言った。

「既に着物は準備してある。姫始めとやらを試させて貰うぞ、マユ」


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