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「ニューイヤーパーティーはやらないんですね」

「ああ、さよう」

スネイプ教授は柔らかに言った。

「ここではマグルの世界のような乱痴気騒ぎは行われない。君はホグワーツを何だと思っているのかね」

予想通り特大の嫌味を頂きました。

黒いマントの裾を翻しながら廻廊を歩いていくスネイプ教授の後ろを、教材を抱えてついていく。
中庭から雪混じりの冷たい風がびゅうびゅう吹いてくるので身震いするほど寒い。

スネイプ教授は全く気にする素振りも見せずに颯爽とした足取りで目的地に向かって歩いていく。
私はその後ろを追いかけていく。
私はこの時間が好きだ。

「日本ではクリスマスよりも新年のお祝いのほうが一般的でした。三が日と言って、元旦から三日間が特別なお休みなんです」

「そうか」

「お正月は皆きちんと身なりを整えて厳かに迎えます。大晦日の内に、おせち料理という特別な食事を用意しておいて、お正月は皆でそれを頂きます」

「なるほど」

スネイプ教授は静かに言った。

「実に興味深い話だが、君はホグワーツで日本式の正月を再現してみたいのかね?」

「いえ、時期的にちょっと懐かしくなっただけです」

「年末年始は忙しい。教職員は特に。来たるべき試験に備えて準備をしなければならん」

「はい、わかります」

「君は慣れない環境ながら実によくやっている。我輩はそう評価している」

「ありがとうございます」

「だから、たまには息抜きも必要だろう。君は酒は飲めるか?」

「はい、飲めます」

「結構。今日午後の最後の授業が終わったら、ホグズミードの三本の箒へ行くとしよう。我輩の奢りだ」

「えっ」

「我輩は働き者には正当な評価を与えることにしている。君にはその価値があると判断したまでだ」

「ありがとうございます。嬉しいです!」

「そうか」

「奢って頂けることももちろんですけど、先生に評価して頂けたことが何より嬉しいです」

「そうか」

「先生もお酒を飲まれるんですよね?」

「そうだな…」

スネイプ教授はこの上もなくもの柔らかい声で言った。

「たまには、良かろう」

「良かった…!あ、別に先生を酔わせてどうこうしようというつもりではないので安心して下さいね!」

「君のそういうところが非常に残念でならない」


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