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夕食はフィッシュ&チップスだった。
白身魚のフリッターとフライドポテトにタルタルソースを付けて食べる、オーソドックスなファストフードだ。

それに、私の大好きな糖蜜パイがデザートとして出されたのだが、大好物のはずなのに残念ながら殆ど味わって食べることが出来なかった。

セドリックが、ダンスのパートナーにレイブンクローのチョウ・チャンを選んだのを知ってしまったからだ。

セドリックは三大魔法学校対抗試合の選手なので、代表としてパーティーのオープニングでダンスを披露するのだが、そのパートナーとしてチョウに正式に申し込んだらしい。

心のどこかではわかっていた。

セドリックが誰を見ているのか。

私はずっとセドリックを見てきたからよく知っている。
彼の視線が誰に向けられていたのかを。

わかっていても、やっぱり悲しい。

誰にも言えないまま、私の初恋は終わってしまった。

「ここにいたのか」

中庭の隅で泣いていたら、夜の闇の中から溶け出るようにスネイプ先生が現れた。
誰にもわからない場所を選んだはずなのに、どうして。

「待ちたまえ」

慌てて涙を拭って立ち上がると、腕を掴んで引き留められた。

「だから言っただろう。セドリック・ディゴリーのことは諦めろと」

「…スネイプ先生はご存知だったのですね」

「目を見ればわかる。君が誰を想っていたかは明白だった」

驚いたことに、スネイプ先生は優しく私の頭を撫でてくれた。

「幼なじみのことは忘れて、我輩にしておきたまえ」

びっくりして声も出ない私を、闇色のローブの胸に引き寄せて抱き包むと、先生は静かに告げた。

「君がディゴリーを目で追っていたように、我輩もずっと君を見てきた」

「スネイプ先生…」

「難儀なものだな、想いというものは」

スネイプ先生に抱きしめられながら、私はまた涙が溢れてくるのを感じていた。

スネイプ先生が優しいから。

先生の想いも、私の想いも、悲しすぎるから。

「君の心が我輩に向く日を待とう」

「先生…」

「我輩がいつでも君を見守っていることを忘れるな」

ごめんなさい

心の中で謝りながら、それでも今だけはスネイプ先生の優しさに甘えていたかった。


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