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ホグワーツ魔法魔術学校の朝食は英国の一般家庭のそれとほぼ同じである。
オートミールは一度食べて懲りた。
コーンフレークでもいいのだが、やはりお勧めはパンだ。屋敷しもべ妖精が毎朝窯で焼いてくれる焼きたてのパンは、外はカリッと、中はもっちりしていてふわふわでとても美味しい。
それにベーコンとスクランブルエッグを加えたものを頂くことにしている。

本来ならば大広間でそれらを食べているはずの時間なのだが、今朝は違った。

「これでいいのかね?」

「はい、ありがとうございます」

スネイプから受け取ったトレイには、言付けた通りの品が乗っていた。スクランブルエッグなどはまだ出来たてのようで湯気を立てている。
ベッドの上で上半身を起こして座っているマユは、膝掛けの上にトレイを置くと、いただきますをしてからこちらも焼きたてらしいパンを手に取った。

「熱っ、あつあつですね」

「火傷をしないよう気をつけたまえ」

「はい」

手でパンを少しずつ千切って口に運ぶ彼女の傍らで、スネイプは紅茶を飲んでいる。

「先生の分は?」

「我輩のことは構わなくていい」

マユはパンに視線を落とすと、おもむろにそれを食べやすい大きさに千切ってスネイプに差し出した。

「先生、あーんして」

スネイプは僅かに眉を寄せて苦い顔をしたものの、何も言わずに彼女に従った。
何しろ、マユがベッドから起き上がれずにいるのは彼のせいなので。
親鳥が雛にそうするように甲斐甲斐しくスネイプの口にパンを運んで食べさせたマユは満足そうに微笑んだ。

「先生はもっとしっかり食べないとダメです。いつも朝顔色が悪いのは栄養が足りてないからですよ」

「そうだな」

年下の恋人の可愛らしいお小言にもスネイプは逆らわなかった。
何しろ、昨夜つい張り切り過ぎて彼女を抱き潰してしまったのは彼だったので。

「このスクランブルエッグも美味しいですよ」

「それは君が食べたまえ。我輩はもう満腹だ」

「そうですか?」

スクランブルエッグを食べるマユを見つめながら、紅茶に口をつけるスネイプの頭の中では昨夜の濃密な行為が再生されていた。
性的なことなど何も知りませんといった風情でありながら、ひとたびスネイプに組み敷かれれば途端に淫らで扇情的な姿を見せるのだから、女とは恐ろしい生き物である。

先生、もっと、と甘い声に誘われるまま口付け、肉棒を突き入れた。
絡みついて締め付けてくるナカの具合の良さに低く呻きながら幾度となく精を注ぎ込んだ。

赤い舌が唇についた卵の欠片を舐め取る。
スネイプは空になった皿が乗ったトレイをマユの膝の上から取り上げてテーブルへと移した。

「先生?」

「午前中の最初は薬草学だったな。君は休むと連絡しておこう」

マユが微笑む。

「大好きです、先生」

昨夜スネイプがつけた痕も露な美しい裸身を晒しながら、彼女はスネイプに向かって両腕を差し伸べてみせた。

そんな、あどけなくも淫靡な誘惑に抗える男がいるだろうか。
スネイプは唸りながら白く柔らかな身体を組み敷いた。

女とは誠に恐ろしい生き物である。


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