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「おはようございます、なまえさん。身体は大丈夫ですか?」

昨夜はとても可愛らしかったですよ。

艶めいた美声にそう囁かれて、思わず毛布を頭まで引き上げて顔を隠したら、意味ありげな含み笑いとともに毛布越しにお腹の辺りを撫でられた。

「昨日、ぼくが出したもの、まだこの中に残っていますよね」

「……どうしてそんなに恥ずかしいことばかり言うんですか……!」

「貴女があまりにも可愛くて」

何かおかしなことでも言いましたか?と言わんばかりの態度に、溜め息が漏れる。
そうだった。
この男にまともな感性を期待してはいけなかったのだ。

地下を拠点とする盗賊団「死の家の鼠」の頭目。殺人結社「天人五衰」の構成員。
超人的な頭脳の持ち主である、このフョードル・ドストエフスキーには。

「朝食を用意させます。食べたいものはありますか?」

「……フレンチトースト」

「わかりました。すぐに作らせましょう」

ほっとしたのも束の間、毛布を剥ぎ取られてしまった。完全に油断していた。
あっという間に美貌が近づいてきたかと思うと、ちゅ、と可愛らしい音を立ててキスをされてしまう。

「それまで、ぼくの相手をしていて下さいね。可愛い人」


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