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「ほら、僕、目つきが悪いからさぁ。怖い人間だって思われてよく誤解されるんだよねえ」

悪いのは目つきだけじゃないだろ、とか。
それは誤解じゃないんじゃないか、とか。

突っ込みたい部分は多々あったが、なまえは微妙な表情で「そうなんですか…」と相づちを打つだけにとどめた。

今だって、何だかよくわからないうちに彼に上手いこと言いくるめられて一緒にデザートブュッフェを食べに来てしまっているのだ。
何を言っても言い負かされてしまうのは目に見えている。

「でも全然そんな事ないからね。安心していいよ、なまえチャン」

チョコレートファウンテンでたっぷりチョコを絡めたマシュマロを、それはそれは幸せそうな顔で頬張って白蘭が言う。

「いやあ〜それにしても最高だね、チョコレートファウンテン!」

「そうですね」

なまえも今度は微笑みながら相づちを打った。
確かにチョコレートファウンテンは素晴らしい。
白蘭に倣い、なまえもピックに刺した苺をチョコレートの滝に突っ込んだ。

三方がガラス張りになっている店内は春のぽかぽかした日溜まりといった雰囲気で、とても明るい。
時間無制限でデザートが食べ放題とあって、行列が出来る程の人気店だ。

今は春の苺フェアの最中だが、白蘭は数々の苺を使ったデザートよりもチョコレートファウンテンに夢中のようだった。
男性にしては細いその身体の何処にそんなに入るのかと驚いてしまうくらい、もりもり食べている。

「いいじゃねーか、デートくらい」

白蘭にデートに誘われたんだけど…と相談したなまえに、リボーンはそんな事を言ってのけた。

「敵にならないならアイツが有用な人材なのは間違いないからな。うまくファミリーに引き込めば良い戦力になる」

その時、なまえの頭の中のイメージ映像では、釣竿を持ったリボーンが白蘭を釣ろうとしているところだった。
そしてその釣り針にぶらさがっている餌は自分だ。

「とりあえずキスまでならいいぞ。それ以上はお預けにしてうまくたぶらかしてこい。わかったか?」

「うん、リボーンが私を怖い目に遭わせようとしてることはよくわかった」

(とりあえずリボーンの言った事は忘れよう…うん、そうしよう)

なまえはそう心に決めた。
せっかくのデザートブュッフェなのだから楽しんで食べなければ損というものだ。

ほんのり温かいチョコレートを絡めた苺をぱくりと食べる。
苺の甘さとビターチョコが程よく調和して凄く美味しい。



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