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「もう怪我はいいのか?」

「はい、絶好調です!骨のニ・三本折れたくらい、どうってことないですよ!」

なまえはエヘンと胸を張って得意気に宣言すると、おもむろに鞄からランチボックスに似た箱を取り出した。

「今日はバレンタインなので、部長に食べて貰おうと思ってチョコレートを持ってきました!」

「そうだったのか! わざわざすまんな!」

蓋を開けた箱の中から了平がチョコレートを摘まみ取る。
独特のテンションの高さにたじろいでいた綱吉の前にもなまえはその箱を差し出した。

「皆さんもどうぞ」

「い、いえ…俺達は……」

「遠慮しなくていいですよ。どうぞどうぞ!」

「そうだ、遠慮はいらんぞ沢田!」

「じゃ、じゃあ、一つだけ…」

おずおずとチョコレートを摘まみあげた綱吉だったが、手が震えていたためか、妙に重く感じたそれを口に運ぶ前に落としてしまった。

「あっ!す、すみませんっ!」

慌てて拾おうとした綱吉の耳に、ズシン、という音が届く。

「ちょっ…いまなんかコンクリートブロックが落ちたみたいな音したんだけど!?」

見れば、落としたチョコレートが微妙に地面にめり込んでいた。
さっき重いと感じたのは気のせいではなかったようだ。

「ひぃっ!?」

「おい、てめー!10代目におかしなモノ食わせようとしてんじゃねーぞ!」

青ざめる綱吉を見て獄寺が激昂する。
不意にその傍らから、ガリガリゴリゴリと、妙な音が聞こえてきた。

「おお!こいつはイケるな!極限にうまいぞ!!」

「こ、こいつ…普通に食ってやがる…」

削岩機みたいな音を立ててチョコレートをかじっている了平を、獄寺達が呆然として眺める。

「頑張って練習して味は何とか極められたんですけど、まだ固さがうまく調節出来なくて…すみません、部長」

「確かに少々固いが、歯と顎が鍛えられてちょうどいいから気にするな!」


ある意味お似合いのカップルだった。



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