「なんていうか、幸村くんと話してると自然と背筋がピンと伸びるんだよね。嫌な感じは全然ないんだけど、プレッシャーを感じて自然に身体が反応しちゃうっていうか」

『ああ、よくわかるぜ』

丸井が電話口で何度も頷いている姿が目に見えるようだ。
やはり部活でも迫力のある部長なのだろう。

そういえば、不二と幸村だが、似ているのは優しそうな雰囲気や人への接し方だけではなかった。
丸井と電話やラインでやり取りする内に分かったのだが、不二と幸村には色々と共通している点があった。
幸村もまた立海の『王子様』だったのだ。
しかもテニス界では“神の子”と呼ばれる天才プレイヤーなのだそうだ。

そんな凄い人と知り合いになってしまったことに少々ビビったものの、それを当の本人に悟られてしまい、どうか気にしないで仲良くしてほしいとお願いされてしまった。

『今度の日曜日、練習試合来るんだって?幸村くんに誘われたんだよな』

「うん、応援に行かせて貰うね。でも本当にいいのかな、他校生の私なんかが行って」

『いいに決まってんだろぃ。ていうか必ず来いよな。お前が来なかったら俺達の命がヤバい』

「やだなぁ、丸井くん、大げさだよ」

『いや、マジで。…お前まだ幸村くんの恐ろしさがわかってねぇな…』

「えっ」

『じゃあ、またな。日曜日絶対来いよ』

そこで電話は切られてしまった。

「日曜日か…」

呟いて、七海はスマホの画面をスライドさせた。


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