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※同級生夢主


「おいで、真奈」

この人には珍しい穏やかな優しい声で誘われて、つい言われた通りにしてしまう。
着流し姿の雲雀のあぐらをかいた膝の上に乗せられて、柔らかく抱きしめられた。
首筋に顔を埋めた雲雀が、すり、と頬を擦り寄せる。
猫みたいだなと思ってちょっと笑ってしまった。

「なに笑ってるんだい」

「だって恭弥くんが」

「僕が甘えたらおかしいの」

「おかしくないけど珍しいなあって」

「まあね。今日は特別だよ。君も甘やかしてあげる」

「私も?」

「だって誕生日だろ」

驚いた。
そういうことにあまり興味がなさそうな人なのに。

「誕生日おめでとう、真奈」

「あ、ありがとう」

「ほら、甘えなよ」

「そう言われても…」

「ふぅん…じゃあ、これでどうだい」

「ぴゃっ!?」

抱きしめられたまま、片手で頭を撫でられた。
いい子、いい子、と繰り返し撫でられる。
こういうことは、普段、雲雀に抱かれている最中とか事後とかにしかされないため、恥ずかしさが半端ない。

「きょ、恭弥くん…」

「なに、恥ずかしいの?」

ふ、と笑った雲雀が少し身を離した。
ほっとしたのも束の間、雲雀の端正な顔が近付いてきてドキッとする。

「恭弥く、…ん」

「もう黙って」

今度はついばむような口付けが繰り返される。

「ん、ん……ちゅ」

恥ずかしい。
顔が火照ってくる。
でも同時に心地よくもあった。
どうせならもう少し甘えてみようと、雲雀に身を預け、両手で彼の身体を抱きしめる。

「大胆だね」

「え、やっ、ちがっ…!」

「したい?」

一瞬言葉に詰まったものの、雲雀の切れ長の瞳を見つめると、恥ずかしそうに頷いてみせた。
だって今日は誕生日なのだ。
とことん甘え倒そう。

「恭弥くん…好き」

「知ってるよ」

くすっと笑った雲雀が胸元に手を添わせ、腰に回した腕でゆっくりと彼女の身体を押し倒していった。


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HappyBirthday to you


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