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※並中生夢主


応接室の大掃除をするため、委員長に本日のみの臨時バイトとして雇って貰った。

一介の中学生の身で金銭の授受は良くないと思ったので、報酬として委員長のブロマイドを頂戴する約束になっている。

「よし、やるぞー!」

委員長が見回りに行っている間が私の仕事の時間だ。
校歌をBGMに、まずは天井の煤落としから始めて、壁も窓も床もピカピカに磨き上げた。

「緑たなびく並盛の〜」

委員長の椅子とデスクもソファとテーブルもピカピカに磨き上げた。

「大無く小無く、並がいい〜」

トロフィーなどが並ぶ飾り棚もピカピカに磨き上げた。

給湯室の流し台もピカピカに磨き上げ、棚に保管されている委員長の湯飲みとマグカップも洗浄してから元の場所に戻しておいた。

舐めても大丈夫なくらいピカピカになったところで、委員長が見回りから戻って来られたので早速業務報告をする。

「委員長!大掃除、完了しました!」

「うん。綺麗になったね」

「頑張りました!」

「見ればわかるよ。はい、これ」

委員長は私に向かって何かの箱を突き出してみせた。
よく見ればそれは、ラ・ナミモリーヌのケーキが入った箱だった。

「あげる」

「ありがとうございます!」

「よく働いてくれたみたいだからね。ご褒美だよ」

「光栄です!」

嬉しいが、確認しなければならないことがある。
私はもじもじしながら委員長を伺った。

「あの、でも、ブロマイドを頂戴する約束になっていたと思うのですが…」

「大丈夫、忘れてないよ」

委員長が「ほら」と差し出したブロマイドを、私は恭しくおしいただいた。

「わあ、ありがとうございます!」

「こんなものが欲しいなんて、君は変わってるね」

ピカピカに磨き上げられたソファの背もたれに手をかけて委員長が言った。
委員長が大掃除の結果に満足されている様子なのが伝わってきて私も大変満足だった。

「大抵の女子は甘いもののほうが喜ぶんじゃないの」

「委員長に頂いたケーキはありがたく頂戴して家に飾ります!」

「いや、食べなよ」


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