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正直、マフィアの世界の事はよくわからない。

しかし、ボンゴレを巨大なグループ企業、ヴァリアーをその傘下にある会社と考えれば、何となくザンザスの立場も見えてくるというものである。
組織のトップとして多忙な日々を送っているだろうという事も。
だから我が侭を言って困らせるわけにはいかないのだ。

(ザンザス……)

ベッドの上で小さな子供みたいに膝を抱えて、真奈はこみあげてくる寂しさを堪えた。

月に一度のペースで逢いに来てくれているザンザスとは、ついさっき家の前で別れたばかりだった。
また来月。
それまではメールや電話で我慢するしかない。
遠距離恋愛の辛いところである。

「ザンザスに逢いてえのか」

直ぐ近くから聞こえた声に真奈は慌てて顔を上げた。
いつの間に入ってきたのか、リボーンがベッドの前に立っている。

赤ん坊の姿形をしてはいるけれども、中身は百戦錬磨の伊達男であるヒットマンには何もかもお見通しらしい。
真奈はちょっと笑って首を振った。

「うん…でも平気。ちゃんと我慢するから」

「我慢しなくていいぞ」

「え?」

「お前は我慢しすぎなんだ」

チャッと銃を構えたリボーンに、真奈は目を見張った。
今まで幾度となく目撃してきた光景だが、今その黒い銃口は真っ直ぐ真奈を狙っている。

「え、なに、まさか──」

「泣いて後悔するくらいなら、いって来い」

はたしてはそれは、「言って来い」だったのか、「逝って来い」だったのか。
たぶん後者だ。

次の瞬間、聞き慣れた銃声が辺りに響き渡った。



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