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連休を利用してのイタリア旅行も、これでもう何度目だろうか。
すっかり手慣れたとまではいかないが、必要な物、持って行くべき物なども大体わかってきたので、それなりの短時間で荷造り出来るようになった。

大抵は有無を言わせず拉致同然に連れて行かれていたため、準備も何もあったものではなかったが。

「真奈、支度は出来たか?」

「うん、もうちょっと」

部屋の外から聞こえてきたリボーンの声に返事をかえし、トランクを締める。
これでよし。

最後にもう一度全身鏡で身だしなみをチェックする。
今着ているのは前にザンザスが買ってくれた服だ。
昨日、クローゼットの中身をぜんぶ出して広げ、散々悩んだ末にこれに決めたのである。

「なるほど、よく似合ってる上に脱がせやすそうだな」と家庭教師のヒットマンにニヤニヤしながらお墨付きを頂いたことは、なるべく思い出さないようにした。
真奈本人はそんなコトを期待して着ているわけではい。

「悪くねえ」

そう笑ったザンザスの顔と声。
それだけが、この服を選んだ理由だった。
好きな人に喜んで欲しいという女心である。

「あっ」

家の前で車が止まる音が聞こえ、真奈は慌ててトランクを持った。

チャイムが鳴る。

「はーい」と母親が玄関にぱたぱたと歩いて行ってドアを開ける音を聞きながら、真奈はトランク片手に自分の部屋を出た。



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