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嫌いではないが、ちょっと苦手だ。というのが正直な気持ちだった。
たぶん味だとか舌触り、喉にかかる独特の感触がダメなのだと思う。
口の中を満たした白いそれは僅かなとろみを持ち、喉にかかりながらも何とか飲み込むことに成功した。
ちょっと涙目になってしまったが。

「はあ……っ」

まだ喉に残っているような感じがして、思わず苦しげな息が漏れる。

「?なあに?」

恋人であり今は婚約者でもある少女がコップ一杯の牛乳を飲み干すのをじっと見つめていたザンザスは、軽く舌打ちしてその自分よりも小さな身体をベッドに放り投げた。

「きゃあっ!?」

抗議の悲鳴は無視して、さっき着込んだばかりの上着を脱ぎ捨て、インナーも脱いで鍛え抜かれた逞しい上半身を晒しながら真奈を組み敷く。
当然抵抗されたが、易々と押さえ込んだ。

「な、なに?どうしたの急に?」

「責任を取れ」

「責任って…あ、ちょ、だめっ…!」

がぶっ、と噛みつくみたいに唇を食まれた後は、すぐに舌を絡めた深い口付けへと移行する。

「ん…は、む…んん…」

ぴったりと合わさった唇から苦しげな声が漏れるのも構わず、ザンザスは甘い唇とミルクの味がする口内を貪り尽くした。

「ふ……ザンザス…?」

ようやく口付けから解放された真奈が名前を呼ぶ。
蕩けきった甘いそれは今のザンザスにとっては彼を煽る材料にしかならない。

カチャカチャと金属の擦れ合う音をさせてベルトを引き抜き、ジッパーを下ろす。
いつもより余裕がないのは自覚していた。
たぶん、膨張率もいつもより凄いはずだ。
それでも止めてやるつもりはなかった。
悪いのはこの小娘なのだ。

「口を開けろ」

「え…口って…え、えええっ!?」


その日、真奈に、嫌いじゃないけど苦手なものがひとつ増えた。


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