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夏休みを利用してイタリアはシチリア島にあるヴァリアーのアジトに遊びに来ている。

「ザンザスは泳がないの?」

浮き輪に入りプールの中でぷかぷか浮かびながら真奈が尋ねるが、プールサイドに置かれたビーチチェアで寝ているザンザスは、軽く一瞥をくれただけでまた目を閉じてしまった。

さっきから、お酒を飲んでずっと寝ているのでつまらない。
まるで子供をプールに連れて行くだけ連れて行って、自分はプールサイドで居眠りしている休日のお父さんみたいだ。
と言っても、真奈の父親の家光は全力で一緒になって遊んでくれるタイプなのだが。

「ほっとけぇ。泳ぎたくなったら起きてくる」

「うん」

真奈が退屈せずにいられるのは、スクアーロが一緒に遊んでくれているお陰だ。
他の皆は仕事だそうで、彼はザンザスと真奈両方のお目付け役というわけである。

「スクアーロは泳ぐの上手だね」

「そうかぁ?こんなもんだろ」

左手は義手のはずなのにこれだけ泳げるのは凄い、と真奈は素直に感心していた。

「泳ぐの教えてくれる?クロールが苦手で」

「いいぜぇ、まず泳いでみろ。どこが悪いか教えてやる」

「うん、ありがとう」

ばしゃばしゃと水を蹴って泳いでみせると、フォームがなっちゃいないと教えられた。

「腕はこうだぁ」

「こう?」

「いいぞぉ、足は…」

ドカッ!と音がしてスクアーロの顔にグラスがめり込む。
ザンザスが投げたのだ。
いつの間にかビーチチェアの上に起き上がっている。

「う"ぉおおい!!てめぇ、何しやがんだ!!」

「うるせえカス鮫」

ザンザスはプールに入って来ると、ザバーッと真奈を水から抱き上げてそのままプールを出ていった。

「もう、焼きもち妬くくらいなら一緒に遊べば良かったのに。スクアーロがかわいそう」

「誰のせいだ」

がぶりと噛みつくように口付けられて、強制的に黙らされる。

放っておいたザンザスが悪いのに、と不満そうな顔をする真奈の後頭部を宥めるように撫でてやり、改めてキスをやり直す。
そんな風にされたら、もう怒れないのをわかっているのだ、この男は。
ずるい、と思いつつ、その甘さに抗えない。

「んん、ザンザス…」

ちゅっちゅちゅっちゅ始めた恋人達を、スクアーロは何とも言えない気持ちで眺めていた。

「はた迷惑な奴らだぁ…」


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