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あたたかい。
自分よりも体温の高い、大きな身体に抱き包まれている。
太い血管が浮き出た腕に、分厚い胸板、綺麗に割れた腹筋と、どのパーツを取っても一目でわかるくらい逞しい肉体。
まだ小さく幼い自分とはまるで違う、成熟した大人の男の人の身体。
密着した素肌から伝わってくる力強い鼓動を感じていると、不思議なほど安心出来た。

正式に付き合い始めてから下ろすようになっていた前髪をさらりと手で梳けば、目蓋に隠されていた紅い双眸が現れる。

「起きてたの?」

「寝てたらまずいことでもしようとしてたのか」

「うん」

両手で頬を包み込むようにして唇にキスをすると、後頭部を大きな手の平でがしっと固定され、開いた唇の隙間から熱い舌をねじ込まれた。

「んん……!」

抗議の意味をこめてぱしぱしと叩いてみるが、逞しい胸板はびくともしない。
ゴムのような舌は口内を我が物顔で荒らし回っている。

「っは、……ぁッ……」

ようやく解放された時にはすっかり息が上がっていた。
ザンザスは言うまでもなく、呼吸ひとつ乱れていない。
経験値の差、という言葉が脳裏をよぎった。

「ま、待って……だめ……」

フンと鼻で笑い飛ばしたザンザスは、まだ幼さの残る恋人の柔らかい身体の輪郭を確かめるように手を這わせている。
その手慣れた手つきに官能を呼び起こされそうになり、真奈は慌てて本題を切り出した。

「あの、ね。クリスマスのことなんだけど」

「なんだ」

「ザンザス達はいつも何を食べてるの?やっぱりパンドーロ?」

「いや、ブッチェッラートだ」

「ブッチェッラートだね。わかった」

後でネットで確認しておこう。
出来れば手作りのものを食べてもらいたいとの思いからである。

「話はそれだけか?」

「あ、うん」

精悍な顔立ちが近づいてきたので反射的に目を閉じると、再び、今度は先ほどよりも深く口付けられた。

「ん…………んん……」

同時に胸や腹を愛撫されて、思考がどろどろに溶けていくような錯覚。

「今度は嫌がらねえのか」

「も、ザンザスのばかぁ……っ」

とろんとした視線に上気した頬、 脱力した身体。いい具合になったそれらを見て気を良くしたザンザスは本格的な愛撫にとりかかることにした。


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