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「だからいつも言ってんだろうが。お前は隙が多すぎんだよ。だから変なカス野郎どもにつけ込まれんだ。少しは反省しやがれ」

隙につけ込んだ代表者であるザンザスは、椅子の上に偉そうにふんぞりかえりながら真奈に説教を垂れた。

「ごめんなさい…」

しゅんとして項垂れる真奈の横で、ハルも身を縮める。

あの後、犯行現場と化した路地から逃亡した三人は、離れた通りにある喫茶店に腰を落ち着けていた。

(こ…怖いですー!)

窮地から救ってくれた恩人であるとはいえ、真奈の婚約者だという男は言動も雰囲気も怖すぎる。

彼の事は以前から話だけは聞いていたのだが、真奈が語って聞かせてくれた「遠い親戚にあたる人で、凄く強くてカッコよくて優しい人」という言葉には到底当てはまるとは思えなかった。

確かに強かった。
確かに凶悪そうだが整った容貌の持ち主ではある。

(でも、でも、ツナさんのほうが、もっとずっと強くてカッコよくて優しいです!!)

ザンザスが聞いたら激怒して古傷が浮かび上がりそうなことを考えつつ、ハルは涙目で自分のオレンジジュースを啜った。

「わかったら、このまま一緒にイタリアに来い」

「だからそれは無理だってば」

「ざけんな。こんな危ねえ町に置いとけるかよ」

「イタリアのほうが絶対危ないと思うんだけど…」

「俺がいる。問題ねえ」

(はひ…言葉の意味はよくわかりませんが、とにかく凄い自信ですっ!)

もはや説教ではなく痴話喧嘩になってきている。
しかもそれは今度はノロケに変わり、それから一時間近くも続いたのだった。



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