ここはどこ ここはどこ 何が起こっているの…? 一面の血の海の中、聖羅は一人呆然と立ち尽くす。 足下の赤い血溜まりには、見知った者達の『カケラ』が沈んでいた。 光を失った物言わぬ虚ろな眼に見上げられ、悲鳴が喉からせり上がってくる。 「聖羅さん」 優しく名を呼ぶ声。 ベッドに仰向けに横たわったままゆっくりと瞬きを繰り返すと、心配そうに覗き込んでいた赤屍が微笑んだ。 「怖い夢を見たのですね。もう大丈夫ですよ」 喘ぐように小さく開かれた唇に、宥めるように優しく彼の唇が重なる。 「貴女には私がついています」 のろのろと腕を伸ばして男の首にすがりつくと、彼はクスッと笑って背を撫でてくれた。 抱きついた事で、ふと鼻孔を掠める血の香り。 まるでついさっき誰かを殺めて来たかのように、生々しい…… 「愛しています…貴女は私だけのモノですよ」 甘い甘い愛の囁き。 抱き締める腕の力強さと暖かさ。 「大丈夫。もう、邪魔者は全て始末しましたから、ね」 悪夢なのか 甘い夢なのか どちらにしろ、この腕からは決して逃れられはしないのだ |