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まるで繭の中だ。

白い絹糸のような物で出来た壁が四方を取り囲み、暗闇の中で淡く輝いている。

どんな感触がするのだろう。
そう思って触れてみようと伸ばした手は、途中で誰かの手に絡め取られた。

繭の壁のように白く、ひんやりと冷たくて大きな男の手が手首を捕えている。

振り返ると、思いがけないほど直ぐ傍で、人形めいた美貌の男が微笑んでいた。
血管が透けて見えないのが不思議なくらい色の白い美しい顔が深い闇の中にぽっかりと浮かんでいる。
闇の中でまるでそこだけ切り取られているかのようだ。


「聖羅さん」


甘い声で名を呼ばれる。
高すぎず低すぎず、耳に心地よいテノールだった。

四つん這いになっている聖羅の背に男の厚い胸板が触れている。
すべらかな素肌から、ドクン、ドクン、と力強く規則正しい鼓動が伝わってくる。

膝と腕を地についた、這う格好のままの聖羅を自らの逞しい体で包むように男は覆い被さっていた。


「何処にも逃げられませんよ」


クスッと笑った拍子に吐息が耳をくすぐった。
さらりと男の黒髪が首筋に垂れかかる。

逃げようとしたつもりはなかったが、男がそう言うのならばそうなのかもしれない。
神妙な表情を作ってみせると、男の微笑が深く甘いものに変わった。
だから、たぶんそれで良かったのだと思う。


「良い子ですね…」


囁いて、男はうなじに唇を寄せた。
チリ、と焼けつくような感覚が走り、痕をつけられたのがわかる。
その場所が気に入ったのか、男はそのまま赤い痕が刻まれただろうそこを、尚も執拗に愛撫した。
やんわりと歯を立てて、肉を食(は)むようにしてきつく吸いつく。

快感と呼ぶにはあまりにも原始的な悦びに、身体がガクガクと揺れた。
腕から力が抜けていく。
それを悟った男が自らの腕を聖羅の腹に回して後ろから支えてくれた。

唇が柔肌をゆるやかに移動しながら点々と所有印を刻んでいく。
じわりと下腹に熱い欲望が広がり、開かれたままの脚の付け根からポタポタと蜜が滴った。
男の指が腿を伝う愛液を掬い取り、更に潤うようにと、それが滴る場所へ塗り込めていく。
赤い口を開けている肉襞を広げ、奥へ奥へと指は進んでいった。
時折入口近くへ戻っては、悪戯な手付きでザラついた場所をひっかくその指技に、聖羅は腰を揺らめかせて男の愛撫に応える。


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