帰りはあっという間だった。 行きと同じく新幹線を使ったのだが、「眠っていて良いですよ」という赤屍の言葉に甘えて眠っていたからというのもある。 同じ三時間のはずなのに、帰りのほうが早く着いた気がした。 やはり気分の問題なのかもしれない。 「今日は疲れているでしょう。土産はまた後日渡しに行けばいい」 山ほど買った土産を手に、帰路につく足でそのまま無限城と喫茶店に行こうとした聖羅を、赤屍はそう言って止めた。 その真意は言わずもがなだ。 そんなに疲れた顔をしているのだろうか、と心配になった聖羅の耳元に顔を寄せて、 「温泉は気持ち良かったですか?」 「!!!」 「クス…これでも責任を感じているのですよ。甘い物でも食べて疲れを癒して下さい」 いつの間に買っていたのか、白玉入りプリンの容器を渡しながら、赤屍が笑う。 赤屍からは既に京都で、浴衣や着物に合わせられるようにと小物袋など、幾つか記念品を買って貰っていたのだが、不意打ちでこうして何気ない物をプレゼントされるのはまた別格で嬉しいものだ。 「さあ、家まで送りましょう」 土産の紙袋を片手に束ねて持ち、赤屍が手を差し伸べる。 聖羅は笑顔でその手を取った。 「赤屍さん…有難うございました。凄く楽しかったです」 「私もですよ。また行きましょうね」 本当に楽しい旅行だった。 いつもの街に戻って来た今も、まだ紅葉した山々が目に浮かぶほど。 「しかし……昨夜試したMAKUBEX君の作った例のアレは、実に良く出来ていましたね。このまま運んでしまうのが惜しいくらいだ。また今度借りて来ましょうか?」 「いいっ!いいですっ!!」 「そうですか、そんなに良かったのですか」 「違っ…!そっちのイイじゃなくて!」 「それにしても楽しい旅行でしたねえ」 「……………」 こうして、聖羅と赤屍の秋の小旅行は幕を閉じた。 |