二日目。 少し遅めに起床した(明らかに昨夜の赤屍のせいだ)聖羅は、軽く朝食を済ませてから、赤屍と二人で貴船神社まで足を伸ばした。 水神が祀られているこの神社は紅葉の名所としても有名である。 「さっき朝ごはんを食べたと思ったら、もうお昼かぁ」 「起床が遅めでしたからね、仕方ありません」 誰のせいだと睨むと、赤屍は笑って「すみません」と謝った。 本当に反省しているのかあやしいものだが、愛情のこもった眼差しで愛おしげに見つめられては、それ以上責める事も出来ない。 聖羅と赤屍はまずは貴船川を少し逆のぼった先の『結社』に立ち寄る事にした。 磐長姫命が奉られているその社は縁結びの社として知られている場所だ。 「まさか、お土産にするのですか?」 御参りをした後、販売所で御参りを買い込んでいる聖羅に赤屍が不思議そうに聞いた。 「はい。こっちが朔羅さんとMAKUBEXの分で、こっちが花月さん達の分です」 「確か、昨日も別の場所でお土産を買っていたと思うのですが…」 「あっ、それは食べ物ですよ。八ツ橋とかお漬け物とか、みんなで食べられる物を買ったんです」 「なるほど。では、それは私が払いましょう。私達二人からのお土産という事にすればいい」 「え、でも、」 遠慮する聖羅を言いくるめ、赤屍はさっさと会計を済ませてしまった。 ライバルに配られる物だと思うと、いっそこのまま捨ててやりたかったが、そうもいかない。 帰ったら「早く良縁が見つかると良いですねえ」などと苛めてやるのも面白そうだ。 「さて…それでは次は奥の宮に行きましょうか」 貴船川を更に上流に向かい、鳥居をくぐると、美しく色付いた木々に囲まれた奥の宮に辿り着いた。 かつて本社があった場所だ。 時間のせいもあってか、観光客の姿は無く、目につく者といえば先客の男女の二人組だけだった。 「静かで綺麗な場所ですね」 「ええ。現在の本宮のほうは観光客で賑やかですが、こちらは落ち着いているようですね」 記念写真でも撮ろうかと辺りを見回した聖羅は、ちょうど御参りが済んだらしいカップルの女性のほうに声をかけてみる事にした。 |