日曜日の午後。 ゆっくりとブランチをとった後、赤屍と聖羅は車で出掛けた。 話し合った結果、ペットを飼うことに決めたためである。 そのペットショップは大型ショッピングモールの中にあった。 かなり大きな店で、販売コーナーとは別に“わんにゃん触れ合い広場”なるものがあり、直接動物と触れ合うことも出来る。 扱う動物の種類も多彩だ。 梟などの鳥類に、レオパードゲッコーという珍しい爬虫類や、ブームを博したフェレットやハムスター、最近人気の針ネズミやモモンガまで一通り揃っている。 そういうわけで、周りを様々な動物に囲まれているのだが、聖羅は真っ直ぐ聖羅を見つめながらとことこ歩いて来て、手に頭を擦り付けて甘えてきた子猫に夢中だった。 ペットショップで取り扱っているのは珍しい黒猫だ。 聖羅が撫でると、仰向けにひっくり返ってごろごろと喉を慣らした。 「可愛い!赤屍さんこの子可愛い!」 「ではその子に決めますか」 「そうします!」 やはり第一印象は大事だと思う。 この子とはお互いに一目見た瞬間からピンと来た感じだ。 もうこれは運命に違いない、是非ともお迎えしなければ!と聖羅は子猫を抱き上げた。 即断即決。 購入の手続きはスムーズに進み、今は子猫が入ったゲージを自宅に連れ帰ってきたところである。 ソファの横にゲージを置いて入口を開けると、子猫は少し考えるような間を置いた後、そうっと外に出てきた。 目をまんまるにして辺りの様子を伺っているのが可愛い。 「名前を決めなければいけませんね」 赤屍が言った。 「実はずっと考えていた名前があるんです」 聖羅は子猫を撫でながら答えた。 「クロ、がいいなあって」 「クロ?」 「駄目ですか?」 「いいえ、良い名前だと思いますよ」 赤屍の返事にほっとする。 聖羅は猫を抱き上げた。 「今日は一緒にねんねしようね、クロ」 「駄目ですよ。まだトイレをしつけていないでしょう」 「うー…どうしても?」 「駄目です」 ガッカリしていると猫ごと抱き上げられてしまった。 それこそ猫でも抱っこするようにして。 「ペットを可愛がるのは構いませんが、あまり妬かせないで下さい」 一瞬ひやりとした。 まさか、思ったのがわかったのか、赤屍がクスッと笑う。 「殺したりはしませんよ。ですが、私が独占欲が強いのはご存知でしょう。貴女ともども子猫も可愛がるつもりでいますが、くれぐれも優先順位を間違えないで下さい。この子のためにも…ね」 「肝に命じます…」 よくできました、と言うように口付けられる。 嬉しいけど、怖い。 色々な意味でドキドキしている。 こうして二人と一匹の生活が始まったのだった。 |