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「ちゃんと温まったかい?」

優しく尋ねながら先生が私の頬に手を滑らせる。

先生が心配するのも無理はない。
今日は本当に寒かったからだ。
季節が逆戻りしたかのような肌寒さに、梅雨寒とはこういうことを言うのかと納得した。

「はい、先生」

「いい子だ。では、ベッドに行こう」

耳に心地よい低音でそう囁かれて、ドキドキしない人がいるだろうか。
例え今日は“しない日”だとわかっていても、やはり自然と胸が高鳴ってしまう。
先生が素敵すぎるからいけない。

先生のベッドには白いシーツが敷かれていて、目に優しいベージュ色のお布団が掛けられている。
その掛け布団を捲って、先に横になった先生が私を中に招き入れた。

「先生…いい匂い」

先生はいい匂いがする。
先生の首筋に顔を埋めてすんすん匂いを嗅ぐと、「恥ずかしいからやめなさい」と少し頬を染めた先生に怒られてしまった。
セックスの時、私にはもっと恥ずかしいことばかりするくせに、先生はずるい。

「先生、ぎゅってして」

言い終わる前から既に先生の腕は私の身体に回されていた。
少し息苦しいくらいが丁度いい。

「せんせい、大好き」

同じようにぎゅっと抱きついた私に、くすりと小さく笑って先生が背中を撫でてくれる。

「私も愛しているよ」

唇に優しいキスが落ちてくると、幸せな気持ちでいっぱいになった。
こうしてただ抱き合って眠るのも良いものだ。

「だけど、困ったね」

「先生?」

「そんなに可愛らしいことを言われては、抑えが効かなくなってしまう」

「先生のえっち」

「私を獣にするのは君だけだよ」

獣欲をあらわにした瞳で見つめられてゾクゾクする。
聖人のようなこの人をただの男にしてしまえるのは私だけなのだという優越感。
そして、この先に与えられるとわかっている快楽への期待。

「せんせい…」

覆い被さってきた先生の大きな身体の重みすら愛おしい。
先生の長い髪が背中から流れ落ちて、檻のように私を閉じ込める。

「なまえ…」

先ほどのものとは違う情熱的なキスをされて、私はうっとりと目を閉じた。


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