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プラチナメロンと呼ばれる高級メロンがあるという。

「市場には一切出回らない品ですので、幻のメロンとも呼ばれています」

「プラチナメロン……ああ、赤屍さんとの記念すべきファーストコンタクトね」

「そうなのです…今でも思い出すと…」

銀次は震えた。

「でも、最後は磁石の応用で赤屍さんの身体の中からメスを引きずり出して銀ちゃんが勝ったんだよね」

「それであいつにロックオンされたんだよな」

「ううっ…!言わないでよ蛮ちゃん!」

銀次はまた恐怖に震えた。
まるでそれを見計らったようなタイミングで喫茶店のドアが開き、話題の人物が顔を見せた。

「おや、皆さんお揃いで」

片手で帽子を取り、優雅に挨拶してみせるのは、運び屋の赤屍蔵人。
銀次と聖羅の恐怖心は既にマックスレベルに達しようとしていた。
夏実とレナが親切にもプラチナメロンの話をしていたのだと説明すれば、その赤屍が銀次を見て笑う。

「────クス」

赤屍さんが笑った!とビビりまくる銀次と一緒に聖羅も怯えた。
その反応こそが赤屍を面白がらせてしまうのだと薄々分かってはいるが、植え付けられた恐怖はそう簡単には拭い去れない。

「ええ、あれはとても楽しい体験でした。あの時、銀次君に体内からメスを引きずり出されましたので、今はそのままの形ではなく金属を溶かした状態で保管しています。見てみますか?」

「い、いえ…見ていりません…」

「ひいっ!ごめんなさい!!でもあれは赤屍さんがっ…!」

怖がっちゃダメだよ銀次君。この人を面白がらせるだけだから。
と思いつつも、聖羅も震えが止まらない。

「ところで、実は珍しい品が手に入りましてね。クリスタルメロンというメロンなのですが、中々手に入らない名品です。是非、聖羅さんと銀次くんにご馳走しようと思うのですが、どうでしょう?」

「い、いえ…あの…」

「俺はいまお腹いっぱいなので遠慮します!!!」

銀次のあからさまな嘘に対し、赤屍はそうですか、と頷いた。

「では、行きましょうか、聖羅さん」

ひょいっ。
まるでぬいぐるみか何かのように抱き上げられて、聖羅は声にならない悲鳴をあげた。

「それでは、私達はこれで失礼しますね」

「や…いやああああああああーー!助けてええぇぇぇーー!!」

誰も助けてくれなかった。
助ける間がなかったとも言う。
赤屍は聖羅を抱えたままあっという間に店を出ていった。

メロンを食べた聖羅がどうなったのか…。
なるようになってしまった、ということである。



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