五月晴れという言葉があるけれど、今日はまさしくそれだ。 久しぶりにすっきり晴れて青空が広がっている。 サービス・販売業で良かったと思うのはこんな時だ。 世間の人々が汗水垂らして働いている時に、家でのんびりしていられる。 その代わり、世間が連休の時はこちらは休み無しで働きづめなわけだが。 昨日天気予報を見てから今日はお布団を干そうと決めていた。 早速ベランダの手すりを軽く拭き掃除してから、部屋から掛布団を持ってくる。 そうして布団を干すと早くもさっぱりした気持ちになった。 「お布団干してる間、何してようかなあ」 「そこの公園にピクニックに行きませんか?」 「!?」 慌てて振り向くと、赤屍さんが立っていた。 合鍵で入ってきたらしい。 「びっくりした…」 「すみません。驚かせてしまいましたね」 ぎゅーっと抱きつくとよしよしと頭を撫でられる。 顔をあげると唇が降りてきたので、そのままちゅっちゅと触れるだけの口付けを楽しんだ。 「ピクニック?」 「サンドウィッチを作ってきました。軽く散歩がてらにどうかと思いまして」 「行く行く!行きます!」 となると、着替えなくてはならない。 コンビニまでならルームウェアで出かけたことはあるが、恋人とピクニックならそれなりにお洒落しなくては。 「そのままで可愛いですよ」 「駄目です。ちょっとだけ待ってて下さい」 赤屍さんに待ってもらって、超特急で支度を整える。 お化粧はナチュラルメイクで、UV対策だけはばっちりと。 服はメイクに合わせてふんわりした雰囲気のワンピースを選んだ。 これまたUV対策の紫外線をカットするカーディガンを羽織って完了だ。 「お待たせしました」 「そのワンピースも可愛いですね」 さあ、行きましょうと差し出された手をとり、二人仲良く部屋を出た。 近所の公園までは歩いてすぐだ。 「良い天気で良かったですね」 「ほんと、天気がいいと歩いていて気持ちがいいです」 公園に着くと芝生の上にレジャーシートを敷いて座った。 赤屍さんがラップでスティック状に巻いたサンドウィッチと、紅茶の入った水筒を出してくれる。 「どうぞ召し上がれ」 「いただきます!」 生クリームたっぷりのフルーツサンドを頬張る。甘くてとても美味しい。 付け合わせに、と出されたレタスでサンドしたローストビーフも美味しかった。 お昼前からこんなに贅沢しちゃっていいのだろうか。 「貴女はいつも頑張っていますからね。お休みの時ぐらい、たっぷり甘えて良いのですよ」 「赤屍さん…」 不覚にもうるっときてしまった。 普段職場で気をはりつめている分、こういう時に優しくされるのに弱い。 「大好きです!」 「私もですよ。愛しています、聖羅さん」 赤屍さんに抱きついて、その胸板に頬を擦り寄せる。 上空にはどこまでも広がる青い空。 帰ったら、干してあるお布団を埃を落として取り込んで。 それから、好きな音楽を聞きながら好きな人とお話するのだ。 お膝に乗せてもらうのもいいかもしれない。 まだ甘える時間はたっぷりと残っていた。 |