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今日も一日よく頑張った。
残業が少なかったのが幸いだ。
疲れた身体に鞭打って帰宅すると、玄関先で赤屍に出迎えられた。

「お帰りなさい、聖羅さん」

「ただいまです」

お帰りなさいを言ってくれる人がいるのは良い。
腕を広げられたので、その胸に顔を埋めるようにしてぎゅうと抱きつけば、よしよしと背中と頭を撫でてくれる。

「今日も一日お疲れさまでした」

「蔵人さぁん…」

「よしよし、良い子ですね」

甘やかされる喜びに浸っていると、リビングへと移動するよう促された。
いつも夕食はそこでとることにしているのだ。

ゆったりとソファに身を預けて、ほうと息をつく。
こうしているとおうちに帰って来たという実感がわいてくる。

「メールでさっぱりしたものが食べたいと言っていたので、魚にしましたよ」

赤屍がてきぱきと配膳してくれたので、お礼を言って食べはじめる。
メインディッシュは、鯛の旨みと春キャベツの甘みがスープごと味わえる、鯛と野菜のスープ煮だ。
白ワインで煮込んであるから、風味があるのにさっぱりしていて美味しい。
しかも1人あたり122kcalと低カロリーでヘルシーだ。

「明日はオムライスにしましょうね」

「わーい!やったー!」

実は最後までオムライスと迷っていたのである。
明日も好きなものが食べられるとわかって嬉しい。

食後のデザートは練乳を使ったミルクプリン。
疲れた身体に甘さが染み入る。

「美味しい!」

「それは良かった。また作りますよ」

「蔵人さんはほんとにお料理上手ですよね」

手先が器用だから外科医になったのか、外科医だから手先が器用なのか。
いずれにしてもハイスペックな恋人であることに違いない。

「今日は一緒にお風呂に入りましょうか」と赤屍が言うので、食後は一緒に浴室に向かった。
洗面台でメイクを落としたら、悪戯されないように手早く衣服を脱ぎ、中に入る。
二人して髪を洗い、シャワーで流した後は赤屍の膝の上に乗せられて身体を洗われた。
ボディソープでぬめる手が確かめるように聖羅の肩の上を滑る。

「今日も凝ってますねぇ」

「やっぱりそうですか?痛いなあと思ってたら…」

「そのままじっとしていて下さい」

待ってましたとばかりに身を委ねる。

まずは首のマッサージからスタート。
首の筋を揉みほぐしていきながら下にずれていき、肩の辺りをぐっと指圧。
肩はじっくり時間をかけて念入りに。
お次は背中。背骨に沿ってマッサージしていく。
親指でぐっぐっと押してくれるのが気持ちいい。
肩甲骨の辺りは手の付け根でぐぐぐーっと押し込むように。
あまりの心地よさに思わずうとうとしてしまう。

「…クス」

目を閉じていたら、唇にキスをされた。
そのまま深くなっていく口付けと、身体の前に回った手に胸をやんわりと包み込まれ揉みしだかれる快感に、もじもじと腿を擦り合わせると、焦らすことなく優しくしっかりとした指先が欲しい場所にちゃんと与えられる。

明日も仕事なんだけど大丈夫かな…という心配はすぐに遠くに吹っ飛んでいった。


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