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昨夜は赤屍さんの部屋に泊まった。
男の人の部屋に泊まるということは…もちろん、そういう意味で。

あんなことやこんなことを思い出すと、枕にヘッドバンキングしたくなるほど恥ずかしい。

「おはようございます」

「お…おはようございます」

「シャワーを浴びますか?」

「あ、はい、お借りします」

これ幸いとばかりに私は浴室に逃げ込んだ。
恥ずかしくて赤屍さんの顔がまともに見られない。

ただ、昨日の仕事のミスによる苦い気持ちは既にかなり薄れていた。
赤屍さんのお陰だ。
あたたかいシャワーを浴びることで、羞恥心を洗い流そうとしたが、やはり無理だった。
小さく溜め息をつきながら脱衣所に戻る。

髪と身体を拭き終わってから気がついた。
脱衣所に置いてあるのは、男物のシャツ一枚。
当然の如く下はない。
──やられた。

どうしようかと迷いながらもそれを身につけ、脱衣所を出る。

室内にはベッドとサイドテーブルと間接照明だけ。
昨日も思ったが、あまりにも生活感がなさすぎる部屋だ。
必要最低限の家具しかなく、まるで、とりあえず用意しただけというような…。

そんなことを考えていると赤屍さんがキッチンのほうから戻ってきた。

「あ、赤屍さん…!」

「朝食の用意出来ていますよ」

「え…あ、ありがとうございます」

出鼻をくじかれてしまった私は、困って固まってしまった。
赤屍さんがくすりと笑う。

「こちらへどうぞ」

ダイニングキッチンには二人用のシンプルなテーブルと椅子のセットがあり、テーブルの上には美味しそうな料理が並べられていた。
ふわふわのホットケーキに、メイプルシロップとバター。
温野菜のサラダ。
スクランブルエッグとベーコンにハッシュドポテトが盛り付けられた皿。
ヨーグルトにはたっぷりのフルーツ。

こんな贅沢な朝食を食べるのはいつ以来だろう。

促されて椅子に座ると、シャツの裾がギリギリだった。
恥ずかしくて裾を引っ張るようにしていると、クスクス笑う涼やかで甘い声が聞こえてきた。

「可愛らしい格好ですね」

「そ、それは赤屍さんが…!」

「ええ、そうですね。ですが、どうせすぐに脱いでしまいますし、必要ないでしょう?」

その言葉に含まれた意味に赤面する。

どうやらまだまだ部屋には帰れなさそうだ。


「赤屍さんのえっち…!」


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