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赤屍蔵人との出逢いは最悪だった。

人身売買組織に誘拐された時に、運び屋の赤屍に助けられたのだ。
あともう少し遅かったら自分は食肉として売り払われるところだったのだと知って聖羅はゾッとした。
赤屍は命の恩人である。

ところが、命の恩人はヤンデレだった。

ことあるごとに聖羅に求愛してきて、隙あらば拉致監禁しようと狙ってくるのである。
これまでは何とか周囲の助けを借りて事なきを得てきたが、出来れば早く諦めてほしいというのが本音だった。

「愛しています、聖羅さん」

と、赤屍は囁く。

聖羅も女なので、赤屍のような端正な容貌の男に熱烈に求愛されて心が揺らがないわけでもないのだが、いかんせん、簡単に心を許すにはこの男はあまりに危険すぎた。

──そう、心が揺らがないわけではないのだ。

正直ぐらぐら揺れている。

あと一歩で落ちようとしているのがわかっているように、赤屍は焦らずじっくりと時間をかけて聖羅の中に侵蝕してきた。

そんな時に出逢ったのが鬼灯だった。


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