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「おかしな世界ですね、ここは」

「お前みたいなのがいるそっちの世界も大概だと思うがな」

兵長さんと赤屍さんがお酒を飲みながら会話しているのをぼんやり眺める。
今はお互いの世界の情報交換をしているところだ。

「そもそもあの巨人は本当に“巨人”なのですか?」

「…どういう意味だ?」

兵長さんの目が鋭く細められる。

「獣や虫に変身する人間を私は知っています。あの巨人は、本当に最初から巨人なのでしょうか?」

私はゾッとした。
あれは元は人間だったかもしれないということだろうか?

兵長さんの答えは「分からない」だった。

「俺には分からない。ずっとそうだ。自分の力を信じても、信頼に足る仲間の選択を信じても、結果は誰にも分からなかった」

静かに語る兵長さんの声だけが夜の中に響く。

「この世界がなんなのか、巨人とは本当はなんなのか……誰か知っているなら教えて貰いたいくらいだ」

それはきっと、この世界の誰もが思っていることなのだろう。

「考えても仕方がない以上、やる事はひとつだ」

兵長さんの目がギラリと光った。

「俺は奴らを一匹残らず駆逐する。死んだ部下達にもそう誓ってきた。俺は必ず巨人を絶滅させる」

胸に響く力強い言葉だった。
彼の部下に女性がいたら間違いなく惚れてしまうだろうというぐらいに。

「だから協力しろ。これは命令だ」

「良いでしょう。喜んでお手伝いしますよ」

赤屍さん、絶対楽しんでるでしょう。
私はそう言いたいのを我慢して、ウキウキした様子でメスを研ぐ彼から目を離した。
すると、兵長さんと目があった。

「これは戦力になるのか」

「いいえ」

「だろうな」

ちくしょう!
鬼みたいに強い鬼畜なイケメンどもめ!

私は一気にコップの酒を煽った。

絶対に生きて帰ってやる!!絶対だ!!



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