暗闇の秘密

暗くなってもうどれくらいたっただろう。
物語も中盤になり皆がスクリーンに視線を注ぐ。
私もまあその一人なわけだけど...思いのほか内容がつまらない。
今日は彼氏のナムジュンと映画デート。


カップルシートが良いって聞かなくてナムジュンと
カップルシートで見ているけど内容がつまらない。
よくこのクオリティであんなに大きく宣伝できたな
とすら思うくらいつまらない。

ふと横に目をやると眠そうなナムジュン。
いや目が細いからそう見えるだけかも。


「ナムジュナ〜...」

「...なに?」


少しくぐもったの声でナムジュンがかえす。
あ、これは眠いんだな。声が既に眠そう。


「眠いの?」

「...別に」


本当に眠そうだから聞いてみるとそっけなく返された。
嘘つき、すっごい眠いくせに。
なんていいながらあたしも眠いんだけど。


それよりさっきから思ってたんだけど
カップルシートだから1席で2人が座れるようになってるからか
体が密着して ちょっとドキドキしてる...なんて。

こんなにくっついてしまうとナムジュンに心臓の音聞こえてそうで怖い。


「...なまえ、ドキドキしてるの?」


さっきのくぐもった声とは違い
自信ありげなナムジュンの声が隣から聞こえる。
なんでこの人こんなにお見通しなの。


「かーわい。心臓の音丸聞こえだけど。」

「う、うるさいし。」

「はいはい、映画館では静かにね。」


そういいながら私の方に頭をもたれ掛けてくるナムジュン。
そんな可愛いことされて心臓が持つ人なんているのだろうか。
...いやきっといない。

自分でも心臓の音がだんだん高鳴るのがわかった。


「あー、心臓の音早くなった。」

「そそそ、そんなことない。」


もっと近づけば早くなるかな?
なんて悪戯気に話すナムジュン。
人の心臓の音で遊ぶんじゃありません。
というか心臓の音が早くなったとかわかるの?

なんて言えるはずもなくきっといまごろ顔は真っ赤。


「本当に可愛すぎるから、我慢できない。」

「え、ちょ、んんっ...!」


途端に塞がれる唇。


「これでもう眠くないでしょ?」


映画のセリフなんて聞こえなくって
ただただ唇に残った感触だけが私の頭を麻痺させた。


ふたりだけの秘密


「自分だって眠かったくせに。」

「じゃあ次なまえからして?」

「絶対に嫌だ。」


15'0612


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