ベタな展開

隣の席のテヒョン君はいつも女の子に囲まれていて
それでもって学校で多分一番かっこよくて
あたしには程遠い存在だった。


「ほら、なまえ。テヒョン君だよ。」


友達に言われ視線の先を見るとテヒョン君。
程遠い存在だけどそんなテヒョン君があたしは好きなわけで
まあ叶うわけもないってよくわかっているから
いつも遠目で見つめていた。


放課後になってみんなが帰ろうと準備していたとき
先生に引き止められるて教室の棚においてある社会のノートを
4階の社会科準備室に持ってきてくれないかと頼まれた。


「わかりました」

「じゃあよろしく、重いから気をつけろよ」


先生はそれだけ言い残すと急いで階段をのぼっていった。
重いって言ってもそこまで重くないよね?
...まあ重くても2往復すればいいか。


教室に戻ってノートをおいてある棚に向かうと
ドアがガラッと開いた。


「わっ!...ってテヒョン君?どうしたの?」


ドアに視線を向けるとそこにはテヒョン君が立っていた。


「えーっと、忘れ物しちゃって。
なまえ?ちゃんは何してるの?」

「あ、ちょっとノートもって行かないといけなくて」

「手伝おうか?」


なまえを覚えてくれてるってだけで
もう嬉しいのに手伝ってくれるなんて
ちょっとどころかかなり思考回路がパンクしてる。


「じゃあ、半分だけ持ってもらってもいいかな?ごめんね」


半分も持ってもらうなんて我ながらずうずうしいなって思う。
テヒョンくんに持ってもらうためにノートの半分を渡そうとすると
その半分と自分が持っていた分まで取られてしまった。


「ちょ、テヒョン君?さすがに全部持ってもらうのは...」

「女の子に全部もたせることなんて出来ないよ」

「でもそれは!...」


あたしが頼まれた仕事だからと言おうとしたけど
テヒョン君の綺麗な瞳にその言葉は飲み込まれてしまった。

テヒョン君はうーんと考えたあとに「じゃあこれ持って?」
そういって渡されたのは3冊のノート。


「こんなの悪いよ...」

「頼まれたノート持ってるんだから
なまえちゃんはきちんと仕事こなしてるよ、ね?」


にこって笑うテヒョン君に何も言い返せず結局3冊だけ
持っていくことになった。こういうところがモテるんだろうな。


「テヒョン君って優しいね」


階段を登っている途中にそう言うと
テヒョン君が吹き出すように笑った。


「え、なんかおかしいこと言った?」

「いや全然?
でも俺は誰にでもこういう風に優しくはないよ。」


へ、と間抜けな声を出してしまって思わず口を閉じる。
正直テヒョン君が何を言ってるのかよくわからない。
じゃあテヒョン君は誰になら優しいの?


「そんな訳分かんないみたいな顔しないでよ」

「だ、だってほんとに分かんない」

「だから...好きな女の子にしか優しくしないってことだよ」


そう口早に伝えるとテヒョン君は一気に社会科準備室まで
駆け抜けていった。


「...え?」


あたしがテヒョン君の言葉を理解するのはあと数秒後のお話。


(僕が好きなのは君だよ)

15'0123


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