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Laugh with you (twst/ラギー)


attention

レオナ妹主(17)です。
そんなに甘くありません。

*****
「いやぁ、困りましたね。いくら名無し姫でも本校は男子校ですよ?」
『入学する訳じゃないのだからいいではないですか。名門NRCの生徒様達がどのような魔法を使われるのか見てみたいのです!』
「たしかにナイトレイブンカレッジは超名門ですが…」
『学園長様、お願い致します…!』
「仕方ないですね…。わかりました。見学を許可します!」
『ありがとうございます!流石、名門校の学園長様は素敵な男性ですね。』

男は褒めとけばいいと、お母様に教わった通りにすれば学園長様は案の定、気をよくされている。流石お母様ね。さらに、私の為にマジカルシフトの学年対抗戦まで開催していただけるなんて、素晴らしいわ。これであの方の素敵なお姿を拝見できるわね!学園長様は早速職員会議の準備に入るとのことなので、私が向かうのは勿論サバナクロー寮。

『レ〜オくん!遊びに来たわ!』
「っ!!危ねぇっ…!!」

寮の中に入ると、すぐに大好きなお兄様を見つけて飛びつく。勢いを付けすぎてそのまま押し倒してしまったけど、私が怪我をしないようにお兄様がしっかり抱きとめてくれるのだから問題ないわ。

「名無し!何でここにいるんだ。」
『社会見学よ!』
「建前はいい。本音は?」
『レオくんに会いたくて。』
「それだけじゃないだろ?」

上半身を起こしたお兄様の首に腕をを回して、語尾にハートマークでも付きそうな言い回しをしても、頭のいいお兄様は納得してくれないみたい。不敵に笑っているから、きっとお兄様にはお見通しなんだろうけど…。お兄様に会いたかったのは本音だけど、確かにここに来た1番の目的は別にある。それを、こんな他の寮生達に注目されている状態で口にするのは少し恥ずかしくて、お兄様の首に顔を埋めて小声で囁く。

『ラギー様にお会いしたくて…』

ラギー様とは、私と同い年のハイエナの獣人族で、レオくんの身の回りの事を日頃から手伝ってくれているというとても優しい人なの。彼を初めて見たのは1年前のマジカルシフト大会。レオくんの応援に行って彼を見た時、稲妻にうたれたように全身に刺激が走ったわ。この世に彼ほどキュートな方が他に1人でもいるだろうか…否、居るはずないでしょう。大きな耳と目、彼のイタズラっぽい笑顔も全てが彼を魅力的に見せていて、眩しかった。私はその一瞬で恋に落ちてしまったらしいの。

「相変わらず趣味が悪ぃな。夕焼けの草原の第一王女様が、あんな意地汚いハイエナに夢中とは…ククッ」
『レオくんったら、意地悪なこと言わないでちょうだい。…ラギー様が見当たらないようだけど、どちらに?』
「俺の飯を買いに行ってる。」
『なんて、お優しい方!』

ラギー様と直接会ってお話した事はないが、帰省する度に私がせがむから、お兄様からラギー様のお話は沢山聞いていた。

「レオナさ〜ん、DXメンチカツサンド買ってきたっスよ…って、誰スか、そのキレーな人!」

この時は、心臓が止まるかと思ったわ。心の準備をするまでも無く現れた、私の王子様。顔に熱を持って、上手く言葉が出てこない。とりあえず、このままレオくんと床に座っているなんて失礼だと思ったから慌てて立ち上がって挨拶をする。

『あ、あの!初めまして…私、レオナお兄様の妹の名無しと申します。ラギー様のお話は、お兄様からよく聞いていますわ。お兄様の分の食事まで購入してきてくださるなんて、お話に聞いていた通りのお優しい方なんですね。』

頭が真っ白になっていたが、私も王族なのだから人前で話すことは慣れている。勝手にペラペラと言葉が出てくるから、初めて王族であることに助かったと思ったわ。この言葉に笑顔を添えれば完璧。いついかなる時でも瞬時に自然な笑顔を作れるように、お母様にみっちり扱かれた甲斐がありました。

「えっ!てことは、第一王女様?!…いやー、いつもレオナさんをお世話してます。」
「何言ってやがるラギー。お世話になってます、だろ?」
「何言ってんスか、俺が居ないと一人で何も出来ないくせに。」

ラギー様の言葉にレオくんが舌打ちをしているけれど、そんなに嫌そうな素振りはしていない。私は、レオくんに物怖じせずに意見できる方を家族以外で初めて見たわ。やっぱりラギー様は、特別なお方なのね!

『ラギー様、あの…宜しければ、こちらをどうぞ。』
「ん?…ドーナツじゃないっスか!!しかも、これ高級ブランドのやつ!ありがとうございます。流石王族っスね。シシシッ」

はうっ!!!その笑顔、何てキュートなのかしら!軽く目眩がして後ろに倒れ込みそうなところをレオくんが支えてくれた。

「お前の好物を名無しに教えたのは、俺だ。俺に感謝しろよ。」
「名無しさん、ありがとうございます。いやー、凄く礼儀正しくて、ほんとレオナさんの妹さんって感じしないっスね〜。」
「…砂にされたいのか、ラギー。」
『もう!レオくんったらなんて事を言うの?お友達は大事にしないとダメってお母様に言われたでしょう?少しはラギー様の優しさを見習ってくださいな。私にはいつも、とっても優しいのに…』

レオくんの発言に頬を膨らませて注意をすると、ラギー様はお腹を抱えて笑いだし、レオくんは言葉につまっているようだった。

「チッ、ダルいが、俺は寮長会議に行ってくる。」
「えっ!レオナさんが自ら行くなんて珍しい!」
「うるせぇぞ、ラギー。」

*****
何故、この状況になったのか…話は数十分前に遡る。

少し血の気の多いサバナクロー寮の生徒様達がいる談話室よりもレオくんの部屋の方が落ち着けるだろうと、ラギー様が私に気を使ってくださり、レオくんの部屋まで案内してもらったのだ。ただ、レオくんの部屋には脱ぎっぱなしの衣服や宝石が散乱していて、それを見て盛大なため息をついたラギー様がお掃除をされているの。つまり、この部屋にラギー様と2人っきりの状況なのよ!心臓が飛び出てしまうのではないかという勢いでドクンドクンと鳴っている。

『ラギー様、私も何かお手伝い致しますわ。』
「有難い申しでっスけど、大丈夫っスよ。お姫様に掃除なんて、させられませんから。」
『…私、ラギー様ほど素敵な男性を今まで見たことがございません。』

思わずポロッと出てしまった本音。慌てて口を手で塞ぐが、ラギー様はこちらをポカンとした顔で見てらっしゃる。恥ずかしすぎるわ…。

「買い被りすぎるっスよ。俺みたいなハイエナなんかより、素敵な人は沢山いる。それこそ、レオナさんとか。」
『レオくん…お兄様はラギー様の仰る通り、背も高くて、男らしくて、賢くて…素敵な男性です。それでも、人はそれぞれの魅力を持っています。少なくとも、私はラギー様がとても魅力的だと思いますわ。』

私の言葉にまたポカンとしてから、シシシッと、とても愛らしい顔で笑うのだ。お母様の言っていた通り、笑顔は人を幸せにする。ラギー様の笑顔を見ていると、自然に私も笑顔になれるの。

「変わったお姫様っスね!」

あぁどうか、ラギー様がずっと素敵な笑顔でいられるような世界であって欲しいわ。

*****

aftertalk

ラギーちゃんLoveな夢主と鈍感なラギーちゃんでした。あんまり甘くないし、レオナさんとの絡み多くなっちゃいましたね〜。
ちなみに、マジフト大会してないので続きます!他のキャラも出せたらいいなぁってかんじです。







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