嘘吐きスタート 2

 扉を開いたその先には、紫色にライトアップされた廊下が続いていた。
 その光景に息を呑み、足が止まる。なんだここ……?
 造りだけなら学校内に見えなくもない。……そうだった、ここは学園内だ。ただ色彩が異常だった。普段見ない色に彩られた視界にクラッと眩暈がする。
 もう一度意識を飛ばしたくなるが、なんとか踏ん張って俺は歩き出した。
 どこに向かったらいいのか。壁に手を付きながら歩き、あぁそういえば、と声を出した。入学通知に『新入生は八時に玄関ホールに集合』と書いてあったような気がする。
 玄関ホール。それは、どこにあるんだろう?

 遅々とした歩みで進み続けていると、人の話し声が聞こえた。
 あぁ良かった、人がいるんだ。安心して息を吐く。俺は人の声が聞こえる方へと進んだ。
 廊下が紫から緑になり、玄関ホールらしき両開きの扉を見つける。扉の上に非常口のマークがあったが、ここで合っているんだろうか?
 不安に思いながらもそこへと近付く。扉の向こうには大勢の人がいた。

「お、また人が来たべ」

 十人以上の高校生らしき人達が一斉に俺を見る。視線には慣れていたから驚きはしなかったが、彼らの向こう側にある物に俺は顔を歪めた。
 それは物々しい扉だった。防護扉とも言えない、銀行の金庫のような鉄製の扉。
 あれは一体なんなんだ。
 思わず頭を押さえると、白い学ランを着た男が大きな声を出した。

「君、体調が悪いのか! すぐに保健室に」
「いや、大丈夫。ごめんだけど、もうちょっと声の音量を下げてくれないかな……」
「それは申し訳ない!」

 俺の言うことを聞いてくれた白い学ランの男は、大きな声でそう言った後に慌てて口を閉じた。抑える前に思わず大きな声が出た、という風な彼に、根は悪い人じゃないんだろうな、と苦笑する。

「これで十五人ですか……。キリがいいし、これで揃いましたかね……」

 大分太い男が言い、皆が頷く。そして誰かが口を開こうとした気配を感じた瞬間、後ろから誰かの足音が聞こえて振り返った。


[*prev] [next#]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -