昔の話1

『すごいよね』
『レベルが違う』
『希望ヶ峰学園に呼ばれるんじゃない?』
『なんて呼ばれるんだろう』
『超高校級の俳優?』
『超高校級の役者だろ』
『どっから声出してるんだ?』
『歩き方が別人だ』
『声が違う』
『メイクしたら分からないじゃない』
『一人二役かよ』
『一人で何役も演じられるって』
『映画とか一人で作れるんじゃない?』

 学校の廊下。学生達がざわざわと賑わっている。普段学校にはいない親達や、他の学校から呼ばれた生徒達でごった返している今日は、文化祭だった。さきほど俺のクラス主催の劇が大成功に終わり、劇が終わったあとも興奮冷めぬ彼らは主役について語っていた。俺は日の当たらない廊下の曲がり角の壁に背を預け、生徒達の言葉に耳を傾けていた。
 超高校級。俺はそれがとても欲しかった。自嘲に顔を歪め、誰にも見つからぬよう彼女のところに向かった。


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