brand new time.(1/2)



確かにその日の朝の目覚はあまり良くなかった。


brand new time.





起きて最初に見たメールが「ごめんスコール、先に食堂行くね!」だった。別に毎朝一緒に朝食を取る約束はしていないけれど、なんとなくセレネと食べるのが日課になっていたから変な気分だった。

そしてもう一つ、今日入っていたはずの任務が何故か帳消しになり丸々一日暇になる始末。確か昨日まで綿密に作戦を練っていたはずだったんだが…あれは一体なんだったんだ。そのおかげで若干寝不足だっていうのに。

更にもう一つ、朝先に食堂に行くと告げてきた一応恋人のセレネ。いつもなら予期しなくても廊下なりエントランスなりで必ず鉢合わせするはずなのに、今日は一度も顔を合わせていない。

「…することないな」

本来なら任務が無くなっても仕事の一つや二つあるはずなのにどうしてかそれすらもない。なんだか番狂わせのように今日の予定やいつもの一日が狂ってきて、することもないから考えることもない。そうすると頭の中でその番狂わせな事ばかり堂々巡り。

「…………」

任務もない、仕事もない、セレネもいない。
思えば最近丸一日暇な日なんて無かった気がする。何かしらやることがあってそれをこなしている内に気がつけば昼、気がつけば夕方、気がつけばあっという間に夜中だった。ゆっくりセレネと話す時間もあったり無かったり。それが朝の朝食の時間だったり夕食の時間だったり。

(もしかして愛想尽かされたのか?)

ふと浮かんだ考え。
いやまさか、忙しいのはセレネだって同じだ。それに昨日まで彼女は普通だった。たまたま今日彼女の方が忙しいだけで、たまたま俺が暇になっただけだ。

(そんなタイミング良いことあるか?)

特に何の音も無い自分の部屋。思考がネガティブに向かっていることに気付いて考えるのを辞めてベッドの枕に顔を放った。ばふっと気の抜ける音がして大きく息を吐いた。
しかし暇すぎる。ガーデン全体はそんなに暇そうな空気は出していないのに俺だけどうしてこんなに手持ちぶさたな時間が多いんだ。今日に限って。

「………」

むくりと起きあがる。
取り敢えず部屋で考えていても暇なことに何の変化もない。溜息だけ一つ零して廊下に足を向けた。





*




「あら、スコール」

部屋を出て最初に鉢合わせたのは書類の束を抱えたキスティス。ああ、キスティスならセレネがなんで朝早かったのか知ってそうだな。

「キスティス、セレネの…」
「あ、ごめんなさいスコール。ちょっと今学園長に呼ばれてて」

……おかしい。
セレネの名前を出した一瞬、キスティスの表情が変わった気がする。けれど問いただそうにも彼女は踵を返して足早に去ってしまう。学園室はそっちじゃないだろうが。

「セレネ…」

なんだか嫌な予感がしたが取り敢えずセレネを探すのが一番手っ取り早い。セレネの行きそうな場所。

「図書室か…」

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